プラド美術館展

2006/04/02

ロダンとカリエール」に続いて、東京都美術館の「プラド美術館展」。混んでいるかな?と心配していましたが、意外に空いていました。いや、実際は人はたくさん入っていたのですが、絵のサイズがいずれもそれなりに大きい上に、位置がちょっと高く設定してあるのか人の頭ごしでもちゃんと見られてストレスはわずか。こちらは先ほどの「ロダンとカリエール」とは違って、もう正面から質量で押しまくる正攻法で、ある意味安心して気楽に見て回れます。ティツィアーノ、ベラスケス、ルーベンス、ゴヤ、さらにエル・グレコなどなど、これでもかという具合にさまざまな名作が並んでいて圧倒されました。といっても実は並んでる作品数は81点に過ぎなくて、いかに一点一点のボリュームがあるかということです。

王家の人々を描いた肖像画が多いのはむべなるかなですが、スペインならではのボデゴン(厨房の食材を主題とする静物画)や花卉図にも見るべきものがあり、ルーベンスの《ヒッポダメイアの略奪》などは、画面左側のナイフを手にして略奪されんとする花嫁に駆け寄ろうとしている男がそのまま飛び出してきそうな躍動感に満ちています。地図でスペインとイタリア(ナポリ)やフランドル、さらには神聖ローマ帝国との関係が図示してあり、スペイン王家がハプスブルク家からブルボン家に変わったことで作品の傾向が変わる様が明らかにされているのも興味深く見ました。しかし、そうした中でも自分のイチオシは、セローディネの《若者を生き返らせる聖マルガリータ》。絵葉書がなかったのが残念ですが、これから見に行こうとする方には、この作品の穏やかな陰影をじっくり味わってほしいものです。