ルドン展

2001/06/10

新宿の小田急美術館で「ルドン展」。

オディロン・ルドン(1840-1916)の絵を初めて観たのは10年以上前のことで、一つ目の巨人を描いた幻想的な主題と、青とピンクのパステルカラーに惹き付けられ、それ以来ルドンは何となく気になっていた画家でした。

今回の展覧会では、ルドンの初期における「ノアール(黒)」の時代の木炭画や石版画が充実しており、カラフルな画家との先入観を改めることとなりました。しかし、19世紀末から20世紀初頭にかけてポール・ゴーギャンの影響を受けた後の明るい喜びにあふれた色彩の幻想を描いたパステル画・油彩画の作品群では、やはりルドンならではの独自の色彩感覚に出会うことができました。

▲《二本の木》(1870年・木炭)。神話的主題は明示されていないが、不気味な死の予感を漂わせる「ノワール」の作品。
▲《聖アントワーヌの誘惑 第一集より『……そして空から舞い降りた大きな鳥が彼女の髪のてっぺんに襲いかかる……』》(1888年・リトグラフ)。ギュスターフ・フロベールの文学作品「聖アントワーヌの誘惑」のための挿画。
▲《眼を閉じて》(1890年・油彩)。ルドン夫人をモデルにしながら、内面世界の静謐を表現した作品。ルドンはこれと同じ主題で複数の作品を制作している。
▲《ペガサスにのるミューズ》(1907-10年・油彩)。主題・色彩とも、まさにルドンの真骨頂をなす作品の一つ。