孫悟空（湖北省京劇院）

東京芸術劇場（池袋）で、湖北省京劇院の「孫悟空」。

西遊記ものは京劇入門にはうってつけの立回りの派手な演目ばかりで、私もはるか昔に観たことがありますが、久しぶりに理屈抜きの楽しさを味わいたいとチケットをとったものです。西遊記の中ではいろいろなパートが独立した演目として演じられますが、この日観たのは「閙天宮」で、天宮での孫悟空の大暴れを痛快に描くものです。

ストーリーは説明を要しませんが、見どころはやはり最後の孫悟空と羅漢たちとの戦いの場面で、ユーモラスな羅漢たちを蹴散らした後に孫悟空が見せる棒さばきが華麗です。孫悟空を演じた程和平は体術よりもさまざまな武器を使った技で魅せてくれて、例えば相手から投げ付けられた剣を如意棒に絡めとり回転させて投げ返したり、巨大なマラカスのような武器（錘）を剣玉の要領で如意棒の上に直立させたり、投げ上げた剣を空中で鞘におさめ、さらに今度は回しながら投げ上げて剣と鞘とを左右に飛ばしたり。そして最後は期待通り、きらきら輝く如意棒を最高速度で前後左右に回転させて、観衆の熱のこもった拍手と歓声を集めました。