Deep Purple

2000/03/26

東京国際フォーラムでDeep Purpleのライブ。今どきDeep Purple?と思う人もいるかもしれませんが、このグループは意外に息が長いのです。

その歴史を振り返ってみると、名盤『Machine Head』を発表したのが1972年。ボーカルとベースを変えて『Burn』等を出した後の1975年にギターのRitchie Blackmoreも脱退。結局その後のバンドはスタジオ盤1枚を残して解散してしまいましたが、1984年に黄金期のメンバーで再結成。しかしボーカルのIan GillanとRitchieとの確執が続いていったんはIanが抜けたものの、1992年にIanが戻ると93年にはRitchieが抜けてしまいます。Ritchieの後釜に暫定的にJoe Satrianiを入れた後、Kansasにもいたことがあるバンド再生請負人Steve Morseを正式メンバーに入れた1994年以降のDeep Purpleは、1996年と1998年にアルバムを発表しているのでした(全然知らなかった……)。

座席は2階の11列11番で、ちょっとステージが遠い感じ。定刻を少し過ぎて会場が暗くなると歓声の中メンバーが入ってきてそれぞれのポジションにつき、おもむろに始まったのは御当地ソングの「Woman From Tokyo」です。メンバーの配置は、フロントが向かって左からRoger Glover、Ian Gillan、Steve Morse、うしろが左にIan Paice、右にJohn Lord。その後、新旧とりまぜた作品であろう知らない曲に混じって「Smoke on the Water」が演奏され、Steve Morseのボリューム奏法を上手に使ったソロなども披露して、本編の最後は大盛り上がりの「Speed King」。そしてアンコールはIan Gillanのハーモニカありの「Lazy」の後に、スネアがタカトコタカトコ入ってきてお待ちかね「Highway Star」。ベースが高いポジションで8分を刻むと、ギターがエンジン音やポルタメントで上がるイントロのシャウトを再現します。Ianのシャウトはちょっと苦しいものの、キメのリズムでSteveとRogerが並んでネックを高く振り上げるアクションを見せて客席もノリノリ。終わってみればちょうど2時間のショウでした。

正直、始まるまでは「Gillanは声だせるんだろうか、Paiceはタイコ叩けるのかな」と心配でならなかったのですが、往年の名曲群を聞けば楽器隊はきちんといい音を出していますし、Ian Gillanのボーカルもこの歳でこれだけ歌えるということは若い頃はとてつもなく凄かったに違いないとまで思わせるほど。現メンバーで制作された新しめの曲はピアノで静かに入って途中からハードな曲調に移行するというパターンが繰り返し見られましたが、これもけっこう聴かせてくれました。また、いくつかの曲ではオルガン対ギターやボーカル対ギターのインタープレイをみせ、Steve Morseがこのバンドに違和感なく溶け込んでいることを認識させました。ただ彼のギターは端正に過ぎて、有名な『Live in Japan』でのRitchieの荒々しいプレイに思い入れがある聴衆にとっては物足りなく感じてしまうところもありますが、Steve Morseもそのへんのところをよく知っていて(?)「Highway Star」の聴かせどころのギターソロではRitchieのスリリングな上行・下行フレーズをちゃんと荒っぽく再現し、総立ちの聴衆から「ウォー!」という大歓声を浴びていました。きっとこの歓声の主たちの中には、青春の一時期このフレーズを死ぬほど練習した元ギター・キッズがたくさん混じっていたに違いありません。

ミュージシャン

Ian Gillan vocals
Steve Morse guitar
John Lord keyboards
Roger Glover bass
Ian Paice drums

セットリスト

  1. Woman From Tokyo
  2. Pictures of Home
  3. Bloodsucker
  4. Sometime I Feel Like Screaming
  5. Smoke on the Water
  6. '69
  7. Watching the Sky / Guitar Solo
  8. Any Fule Kno That
  9. Fools / Keyboard Solo
  10. Perfect Strangers
  11. When a Blind Man Cries
  12. Speed King
    -
  13. Lazy
  14. Highway Star