塾長の鑑賞記録

塾長の鑑賞記録

私=juqchoの芸術鑑賞の記録集。舞台も絵も和風好き、でもなぜか音楽はプログレ。

Yes

1998/10/09

渋谷公会堂でYesのライブ。新譜『Open Your Eyes』を受けてのツアーなのですが、このバンドの場合、演る方も聴く方も懐メロを是認しているところが良くも悪くもKing Crimsonとの違いなので、行く前からセットリストはだいたい想像がついてしまいます。

定刻の19時に例によってストラヴィンスキーの「火の鳥」が流れはじめ、歓声の中メンバーが登場。配置は後列が下手にキーボードのIgor Khoroshev、上手にドラムのAlan White。前列が向かって左からギターのSteve Howe、ボーカルのJon Anderson、ベースのChris Squire、ギターのBilly Sherwoodです。

オープニングはやはり「Siberian Khatru」で、ベースの複雑なリフも中間部のハープシコードソロもボーカルハーモニーもばっちり決まり、完璧なスタートでした。その後も「Yours Is No Disgrace」「Heart of the Sunrise」など往年の名曲がこれでもかと出てきますし、最高傑作『Close to the Edge』からは3曲とも演奏され、「Open Your Eyes」ではツインボーカルになってChrisが存在感を示し、さらに90125Yesの「Rhythm of Love」「Owner of a Lonely Heart」ではBillyがTrevor Rabinのソロを端正に代替して、選曲に関しては文句のつけようがありません。強いて言えば最新アルバムから「New State of Mine」くらいはやってもよかったし、客席からリクエストが出ていたように「Starship Trooper」はエンディングでやって欲しかった(Jonが二度「ナニカ、リクエスト?」と呼び掛けましたが「Starship Trooper!」の声に困った顔で「No,no,no...」。最初から演奏曲目が決まっているのですから、これは御愛嬌といったところ)。

Jonのボーカルはまったく歳を感じさせないほど高音がよく出ており、曲間のMCも楽しくてコンサートを盛り上げてくれました。やっぱりボーカルがしっかりしていればいいライブになるものです。プロダクションで活躍したBillyと今回初来日のIgorは裏方に回った感じで、Igorの方は目立つキーボードパートも多かったものの基本的にはRick Wakemanのフレーズをなぞったもの、Billyの方は演奏に関しては前記2曲以外はほとんど出番なしという感じ。ただし「Wonderous Stories」「Long Distance Runaround」でのBillyは得意の高音を活かして、Chrisのコーラスパートを代わりに歌っていました。

各自のソロコーナーではやはりSteveのアコースティックギター三連発が抜群だったほか(2曲目はGTRでの曲。昔々、Asiaの大阪公演でも聴いたのを思い出しました)、Chrisのベースソロは「The Fish」「Tempus Fugit」「Sound Chaser」のミックスで、音もアクションもド迫力でした。また、JonとIgorは曲中で手があいているときに中央後方のブースでパーカッションを担当。特に最後の「Roundabout」では、Igorが右手でオルガンの高速アルペジオを弾きながら左手はカウベルでリズムキープするといった器用な技も見せていました。これらの中でもJonのボーカルが素晴らしかったことは聴衆が一様に驚嘆したようで、その後Yes関係のウェブサイト上でのレポートでもこの点に言及する発言が多く見られました。ちなみに、大きく盛り上がったもう一つの話題は「Long Distance Runaround」でSteveがかぶった巨大なソンブレロでした。

演奏もサウンドもライティングも文句なしの約2時間強のライブは大歓声のうちに終了し、私はまたもや喉を枯らし手を腫れ上がらせて会場を後にしたのでした。

ミュージシャン

Jon Anderson vocals, guitar, percussion
Chris Squire bass, vocals
Steve Howe guitar, vocals
Billy Sherwood guitar, vocals
Igor Khoroshev keyboards, percussion
Alan White drums

セットリスト

  1. Opening (Firebird) / Siberian Khatru
  2. Rhythm of Love
  3. Yours Is No Disgrace
  4. Open Your Eyes
  5. And You and I
  6. Heart of the Sunrise
  7. Guitar Solo (Mood for a Day / Sketches in the Sun / Clap)
  8. Wonderous Stories
  9. Keyboard Solo / Long Distance Runaround / Bass & Drum Duo
  10. Owner of a Lonely Heart
  11. Close to the Edge
  12. All Good People / Your Move
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  13. Roundabout