塾長の鑑賞記録

塾長の鑑賞記録

私=juqchoの芸術鑑賞の記録集。舞台も絵も和風好き、でもなぜか音楽はプログレ。

シルヴィ・ギエム・オン・ステージ

1997/10/03

五反田簡易保険ホール(ゆうぽうとホール)で「シルヴィ・ギエム・オン・ステージ」(共演:チャイコフスキー記念東京バレエ団)。開演18時半、終演21時20分。演目と配役は以下の通りです。

演目 ダンサー 振付
バレエ・インペリアル 東京バレエ団 ジョージ・バランシン
シシィ シルヴィ・ギエム / オリヴィエ・シャヌ 他 モーリス・ベジャール
シンフォニー・イン・D 東京バレエ団 イリ・キリアン
ボレロ シルヴィ・ギエム / 東京バレエ団 モーリス・ベジャール

バレエ・インペリアル / シンフォニー・イン・D

「バレエ・インペリアル」は、同行した元バレリーナのIさんが「発表会並み」と酷評してしまいました。古典バレエの基本をおさらいするような構成ですが、振付もダンスも良くない、とのこと。そこまで?とは思うものの、コール・ド・バレエが思い切りこけていたのは事実です。かたや「シンフォニー・イン・D」の方は、コミカルな振付を溌溂と踊って会場の笑いを誘い楽しめました。

シシィ

オーストリア・ハプスブルグ帝国の皇妃エリザベートの狂気と死を題材とし、シルヴィ・ギエム自身の台詞などもある複雑な演劇仕立てのバレエ。幕が開いて舞台の中央にギエムの姿が照らし出されると、それだけで会場が熱気に包まれます。さらに、ベジャールの独特の振付が彼女の切れの良い動きにより強烈なメッセージとなってなおも観衆を魅きつけていくさまを目の当たりにして、陶然となりました。

ボレロ

ジョルジュ・ドンのカリスマ的なダンスによって広く知られるようになったベジャールの代表作の一つですが、赤い円卓上の「メロディ」を女性が、周囲を取り囲む「リズム」を男性が踊る組み合わせはこの作品のオリジナルの姿でもあります。振付もジョルジュ・ドンのものとは微妙に異なっており、より挑発的なものとなっていました。終演後、スタンディングオベーションでの拍手は会場内が明るくなっても鳴りやみませんでした。

第8回世界バレエフェスティバルでのシルヴィ・ギエムには実はいまひとつピンときていなかったのですが、今日はその完璧な美貌と技巧、豊かな演技力がもたらす存在感に圧倒されました。ちなみにシルヴィ・ギエムと東京バレエ団の組み合わせは1993年4月に『ベジャール・ガラ』として当時住んでいた京都市の京都会館大ホールでも観ており、そのときのギエムはベジャールの新作「エピソード」と、同じくベジャール振付の「春の祭典」を踊っています。当時の彼女はどちらかといえば技巧がかったクールな印象が強かったのですが、今回のステージではゆとりや貫禄のようなものが感じられました。