湯川渓谷

山頂  
分類 関東周辺
日程 2017/01/21-22
同行 ヨシノさん / ナガシマ氏 / ミヤザキさん
概要 湯川渓谷でのアイスクライミングの練習。初日は白髪エリアで登り、灯明の湯に泊まって翌日はミクロトワンソン。

白髪エリア。思ったより混んでおらず、先行パーティーと共存できました。(2017/01/21撮影)

ミクロトワンソン。右寄りの氷柱部を登ればV級ですが、この日のコンディションではスクリューの効きに若干不安あり。(2017/01/22撮影)

保科雅則ガイドのスクールで知り合ったヨシノさん・ナガシマ氏とは継続的に江戸川橋でのジムクライミングを続けているのですが、たまには外でアイスにも行ってみましょうという話になり、やはり保科スクールで経験のある湯川渓谷に向かうことになりました。そこにヨシノさんと同じ茅ヶ崎方面の山岳会のメンバーであるミヤザキさんも加わって総勢4人が、土曜日の朝に高尾駅北口で待ち合わせてヨシノさんの車で佐久を目指しました。

2017/01/21

■11:20-16:20 湯川渓谷

この日泊まることになっている「灯明の湯」に立ち寄って案内を乞うと、親切なご主人が車で先導して下さって林道の途中(車進入禁止区域の手前)まで入ることができました。車を降りて身繕いをしている間にもどんどん雪が降って来ましたが、高層の天気は悪くないものの寒気の張り出しのせいでこのあたりは低空に雪雲が発生しているようです。

道中ところどころに発達したつららを見ながら吹雪の林道を奥へ進むこと30分、勝手のわかっている白髪エリアに到着しました。ここまでの途中ですれ違ったクライマー二人から「人がたくさんいますよ」と脅かされていたのですが、確かに人数は多いものの張られているトップロープはわずかで、これなら我々のラインを確保することもできそうです。

そんなわけでさっそくミヤザキさんと私とでトップロープを張るために左手から回り込むように崖の上に上がれば、ロープを掛けるのにふさわしい木には残置スリングや赤テープの目印があってセットに困りません。適当な場所にトップロープをセットし、あとはひたすら傾斜を求めて登るだけです。

氷の状態は心配していたほどには悪くなく、テクニカルな氷柱登りやヴァーチカルな垂壁登りもできてよい練習になりました。もっとも、もう少し氷が太ってブランクセクションが消えていればリード練習もしたいところですが、あいにくそこまでは氷が発達しておらず、最初から最後までトップロープでのクライミングとなりました。それにしても寒い!……と感じているのはロープの方で、体感温度はさほど低いものと思わなかったのですが、気がつけばロープが凍りつきビレイもままならなくなっていて肝を冷やしたりしました。

いい感じに何本も登って、だんだん日が陰ってきたところで撤収。車までは下り道ですから、あっという間です。

「灯明の湯」はお風呂も晩ご飯(写真の膳の他に焼き魚と天ぷら付き)もすばらしく、お客も少なくてゆったりくつろげます。我々は男性二人・女性二人の混成パーティーですが、あてがわれた部屋は二間続きなので気を使うこともなく布団をのべることができました。夕食の後に部屋にもどって、ヨシノさん持参のワインをいただきながら四方山話に花を咲かせていたのですが、最初に私が睡魔に負けてバタンキュー。続いてミヤザキさんも倒れ込んだようで、結局22時過ぎには消灯することになりました。

2017/01/22

■09:30-13:00 湯川渓谷

6時半に起床し、朝風呂につかってから朝食。なんて贅沢なクライミングトリップなのでしょうか。

これまたすこぶる美味かつボリュームたっぷりの朝食をいただいてから出発しようとしましたが、車のフロントガラスが凍りついていて、宿からやかんのお湯を借りて氷を溶かす場面がありました。

この日向かったのは、昨日の終わりに偵察しておいたミクロトワンソンです。白髪エリアの出合よりもわずかに上流の渓谷をまたぐ橋を渡ったところに崖から垂れ下がっている細い氷瀑がそれで、その一風変わったネーミングは韓国を代表する大氷瀑である土旺城氷瀑(トワンソン・ポッポ)からとられたものでしょうが、本家が300メートルにも及ぶ大瀑布であることを考えると、ずいぶんおこがましいネーミングのような気もします。ともあれ、落ち口近くのしっかりした立木にスリングを掛けてトップロープをセットし、そこから懸垂下降で河原に降り立ちました。

ミクロトワンソンを登り始める前に、さらに上流の乱菊の氷柱群を覗き込んでみましたが、見えている範囲では細いつららが崖下にかろうじてぶら下がっているだけで、登りたくなる感じではありません。したがってこの日はこのミクロトワンソンと心中することに決めたのですが、ただ登るだけではつまらないので、アイススクリューを使う擬似リードとしました。滝の形状は、右寄りが傾斜の立ったヴァーチカルな氷柱でV級くらい、その左に浅い凹角状ができていてこちらはIV級くらいでしょうか。左側なら苦もなくリードできる感触を得ましたが、氷が少々貧弱で支持力に確信が持てなかったため、最初から最後までトップロープで登ることにしました。

我々が登っている間にソロクライマーが橋を渡ってやってきて、我々に声をかけてから懸垂下降で降り立つと、合間を縫ってソロシステムでの登攀の練習を始めました。見慣れない各種の用具を駆使する様子に興味津々で見入っていると、背後の雪の斜面を彼の奥さんと可愛い娘さん二人が降りてきて、声援を送ったり早く帰ろうよと声をかけたりする微笑ましい光景に出会い、ほのぼのとした気持ちにもなりました。

それにしてもこの谷底は寒い!風が冷たい!4人で回しているとどんどん身体が冷えてきてしまい、正午を回る頃にはもういいかという気分になって(ナガシマさんはまだ物足りない様子だったのですが)ここを切り上げ、林道に上がりました。白髪エリアが空いていれば転進しようかと上から覗いてもみたのですが、遠目にざっと数えても20人弱の人々が群がっていたので潔く断念し、昨日とは打って変わってよく晴れた林道を下りました。後から思えば、最後にせめてもう一本、ミクロトワンソンの右寄りのV級氷柱部をリードして締めくくれば充実したと思うのですが、ところによって水も流れている状態でしたから、まあいい潮時だったのかもしれません。

皆さん、お疲れ様でした。またどこかのアイスでご一緒させて下さい。

ところで、初日のまだ一本も登っていないところで、ヨシノさんが先に来て登っていたクライマーが落とした氷塊の直撃を受けてしまうという事故がありました。事故直後は痛そうにしていたもののしばらく休んだら回復し、その後は何事もなかったように登り続けていたので安心していたのですが、帰ってから病院で確認したら肋骨にひびが入っていたとのこと。アイスクライミングの現場では起こりがちな事故ですが、これはヨシノさん本人も認めていたように、氷を落としたクライマー側の責任ではなく下にいる側がリスク管理すべき問題です。先行クライマーからのフォールラインを外して立ち位置を決める、または(どうしてもフォールライン上にいなければならないときは)上に神経を使うということを常に忘れないように……。