塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

赤岳

日程:2015/01/10-12

概要:三連休の初日は美濃戸口から行者小屋テントサイトまで。翌日、赤岳西壁南峰リッジを登る予定だったが悪天候のために文三郎尾根を赤岳まで。3日目も多量の降雪にめげてそのまま下山。

山頂:赤岳 2899m

同行:よっこさん / チオちゃん

山行寸描

▲赤岳山頂。本当はバリエーションルートを辿ってここへ立つはずだったが……。(2015/01/11撮影)

2015/01/10

△12:30 美濃戸口 → △13:45-55 美濃戸 → △16:25 行者小屋幕営地

冬季アルパイン入門と言えば南八ヶ岳。既に阿弥陀岳北稜小同心クラックで雪バリ経験済みのよっこさんと、これから冬も登るぞと意気軒昂(?)なチオちゃんを連れて、成人の日の三連休は赤岳のバリエーションを目指しました。

20kg程の重荷を担ぐのは昨秋の剱岳以来というよっこさんはついつい遅れがち。それでも前方に八ヶ岳の懐かしい山々の姿がきれいに見えたときは疲れも吹き飛ぶかと思われたのですが……。

日が翳るにつれて急速に気温が下がり、しかも行者小屋に着く頃には白い雪雲が頭上を覆っていました。カラフルなテントが小屋の周辺を埋め尽くす中、ちょっとした高台にかろうじてテント2張り分の地所を確保し、私は自分の1〜2人用、女子2人はチオちゃんのゴージャスな大テントを日没と競争するようにして張りました。

一息ついてからチオちゃんテントに集まって、よっこ料理長の指揮の下に作られたネギ鍋&豚しゃぶがスーパー美味。しかし日頃の仕事の疲れもあってか、チオちゃんは買ったばかりのダウンジャケットにバーナーを当ててテント内にダウンを飛び散らせるわ、私は食べながら矢吹丈の如く真っ白な灰になるわ……。

2015/01/11

△07:55 行者小屋幕営地 → △09:35 赤岳 → △10:40 行者小屋幕営地

この日は赤岳西壁南峰リッジの予定でしたが、目覚めてみるとやはり天候が思わしくなく登攀は中止。せめて赤岳のてっぺんくらいは踏んでおこうと、最小限の装備を背負ってのんびり出発しました。

文三郎尾根には登山者の行列ができており、途中からは濃いガスを通してうっすらと主稜を登るクライマーの姿も見えています。寒風、雪、それに何より渋滞が厳しそうでしたが、よっこさんもチオちゃんも初めて自分が(いずれ)登る対象として主稜を眺めて、その威圧感を肌身に感じた様子でした。

主稜へのトラバース地点や南峰リッジの取付を確認しながら高度を上げ、肩からは岩と雪のミックスの登り。この時期のこのコンディションでここを登るだけでもよいトレーニングになりました。

そこそこいいペースで山頂に到達しましたが、もちろん展望はありません。記念撮影を終えたら直ちに下山にかかりました。

我々が下降に入ってからも続々と登山者が登ってきます。こんな天気でも登るなんてまったく酔狂な……とは思うものの他人のことは言えません。そして帰路にもまた主稜を見上げましたが、見れば見るほどシビアそうなコンディション。あれを登れば充実するでしょうが、2度目3度目ならともかく、初めてのルートをこの状態で登ることは私としては勧めたくありません。やはり最初は、青空を見上げてその高みに向かって登っていかなくては。

帰幕したのは10時40分。行者小屋でカレーライスやラーメンの昼食をとったところでまだ半日残っていますが、シングルロープを持っていれば赤岳鉱泉まで足を伸ばしてアイスキャンディーで遊ぶこともできるものの、そうした準備はしてきていません。仕方なくひたすら昼寝で時間を潰し、16時半頃から早めの夕食とすることにしました。

2晩目の鍋は味噌仕立ての豚しゃぶが、またしても美味。翌日は気合で赤岳西壁主稜を登るか、あるいは体力任せで阿弥陀岳北稜から赤岳西壁南峰リッジへ継続するかというプランも選択肢として検討されたのですが、穏健に南峰リッジ1本とすることで意見がまとまりました。それにしても気になるのは、この日の午後から本格的に降り始めた雪がいつ降り止むかです。

2015/01/12

△07:05 行者小屋幕営地 → △08:40-50 美濃戸 → △09:35 美濃戸口

4時すぎに目を覚ましてテントの外を見てみると、はっきりと雪模様。これでは赤岳西壁にも新雪がべったり着いてしまっているはずで、クライミングどころではなさそうです。そうとなればさっさと撤収するしかありません。

テントの外には1晩でうず高く積もった雪が壁のようになっており、雪面に刺していたアックス類も掘り出さなければならない状態でした。それでもどうにかパッキングを終え、ふかふかの新雪に付けられたばかりの踏み跡を頼りに下山を開始しました。

下るにつれ、意に反して空はきれいに晴れてきました。こうしたことはよくあることですが、登れないのは天気のせいではなく着雪の状態のせいだとわかっていても、悔しい思いが募るのは人情というものです。

美濃戸から振り返れば雲の中から阿弥陀岳が頭を覗かせ始めており、さらに「もみの湯」でひと風呂浴びてから中央自動車道に乗るべく車を走らせる頃には、八ヶ岳全山が青空の下に姿を綺麗に見せていました。

青空の、バカヤロー。