横岳西壁小同心クラック

山頂 横岳2,829m
分類 八ヶ岳 / アルパイン
日程 2014/09/06-07
同行 yokkoさん / ハマちゃん
概要 初日に赤岳鉱泉まで入ってテントを設営し、ただちに大同心稜を登り、小同心クラックを登攀。大同心ルンゼ〜大同心稜を下降して帰幕。二日目は中山尾根に登る予定でしたが、雨のために中止してそのまま下山。

1ピッチ目。yokkoさんは支点構築でちょっとパニくった模様。(2014/09/06撮影)

2ピッチ目。ずいぶん落ち着いてきました。(2014/09/06撮影)

3ピッチ目。太鼓判を押せるレベルになってきました。(2014/09/06撮影)

横岳山頂直下の最終ピッチをリードするハマちゃん。山頂ではギャルの歓声に迎えられた模様……羨ましい。(2014/09/06撮影)

馴染みのボルダリングジム「登處 八丁堀」のオープン四周年パーティーでワイングラス片手に常連仲間とあれこれ話をしているうちに、ハマちゃん・yokkoさんとの間で決まったアルパイン山行。当初は「北岳バットレスへ一泊二日で行こう!」プランで、私がガイドに連れられて初めて第四尾根を登ったときも一泊二日でしたし、その後Niizawa氏と第四尾根から中央稜へ継続したとき(←これは私の生涯ベスト山行のひとつ)も一泊二日で行けていたのでこのプランはそれほど難しくはないと思っていたのですが、その後再検討してみると、2010年10月の枯れ木テラス崩落でルート状況が変わっていることや、今年は夜叉神峠と広河原の間の林道が通行止めになったことによるアプローチの事情変更などもあってちょっと微妙。そこで勝手知ったる八ヶ岳に転進することにし、初日を小同心クラック、二日目を中山尾根とする計画を立てました。メインテーマはお二人のマルチピッチでのリード体験で、そのためにあらかじめジムでの練習も行ってから当日を迎えました。

2014/09/06

■09:30 美濃戸 ■11:10-12:00 赤岳鉱泉

5時半に私の自宅近くまで迎えに来てくれたyokkoさんの「赤い彗星」は、石川PAでハマちゃんをピックアップして中央道を信州へ向かいましたが、大月ICの先でまさかの事故閉鎖。大型トラックを含む7台の追突事故のため早期復旧の見込みはなく、大月ICから一部下道を走ることになりました。

それでも思った程には遅延することなく、9時過ぎに美濃戸に着くことができてラッキー。荷物を振り分けて勇躍赤岳鉱泉を目指しました。

テントとロープを持ったyokkoさんのザックは重く、途中でロープをハマちゃんにトス。私のザックにはギア一式とロープが入っていますが、荷物調整後でもなお3人の中で一番軽いことに、ハマちゃんもyokkoさんも驚いていました。ここらへんの軽量化・コンパクト化は年の功(←あまり認めたくありませんが)といったところです。

それでも美濃戸から2時間かからずに赤岳鉱泉に到着。テントを設営し、昼食を各自とってから、大同心稜を目指して出発しました。

■13:10 大同心取付下 ■13:25-40 小同心取付

一昨年の10月にこのルートを経験済みのyokkoさんの先導で、大同心沢から大同心稜へ。西から徐々に雲が広がってきていて暑さは和らいでいましたが、それでも急な登りには息があがり、汗が出てきました。考えてみると、この山行はシャモニーから帰国してから初めての山歩きで、実に1ヶ月以上ぶりです。

やがて、懐かしい大同心と小同心が見えてきました。かつて小同心クラックと大同心正面壁雲稜ルートをワンデイで継続したことがあります(←これも私の生涯ベスト山行のひとつ)が、そのときは他のクライマーが二組ほどいたのに、今日は我々の他に誰も岩に取り付いていませんでした。

大同心の基部を回り込んで、大同心ルンゼを下降。草付を登り返して小同心の基部へ。

あらかじめの打合せの通り、小同心のてっぺんまではyokkoさんのリードです。取付でロープを結び、ギアラックごとギアを渡してハマちゃんがビレイ態勢に入ると、少々おっかなびっくりながらyokkoさん離陸。

1ピッチ目は出だしを少し上がってから左へトラバースし、上に見えているチムニーの真下まで移動してからかぶった凹角を直上するラインです。yokkoさんは慎重にホールドを確かめながら登り、下から二番目のビレイポイントでピッチを切ると、後続の確保態勢に入りました。しかし……コールがかかってハマちゃんが数歩登り始めたところで「ちょっと待って!」コール。yokkoさんのビレイデバイスはATCなので支点から折り返してのボディビレイなのですが、そのロープの「折り返し」のところで何か勘違いがあったようでした。

しばしの間の後に再びコールがかかり、ハマちゃん、私の順にフォローしました。私はアプローチシューズのままで登ったのですが、技術的にはまったく問題ないものの、今年5月に登った裏妙義木戸壁右カンテでぼこぼこの岩が剥がれた経験をしたトラウマが残っているのかホールドが信用できない怖さが蘇り、少々ぎこちない登りになってしまいました。

2ピッチ目はチムニーの中をひたすら上へ登るピッチ。1ピッチ目に比べると傾斜が落ちてきており、最後に両手両足突っ張りでテラスへ抜け出る楽しいピッチです。

今回はyokkoさんも落ち着いて支点を構築でき、スムーズに後続を迎えてくれました。善哉。

3ピッチ目は出だしの飛び出した岩をかわして狭いランペ状を小同心最上部の安定した場所まで。このピッチを登るyokkoさんをビレイしている間に、隣の大同心の頂上からこちらを眺めている登山者(というよりトレイルランナー風)の姿がありました。彼はyokkoさんが2ピッチ目を登っている間に、ビレイしているハマちゃんと我々の姿を小同心の基部から見上げていたのですが、驚くほど短時間の間に大同心ルンゼを登り詰めてあそこまで行ったことになります。世の中、ホントにいろいろな人がいるものです。ともあれこのピッチもスムーズに進んで、さして時間をかけずに横岳山頂が見通せる小同心上部の肩に飛び出しました。

yokkoさんがビレイしてくれたところからほんの少し登ったところが小同心のてっぺんで、ここでロープをいったんほどき、横岳の山頂を目指しました。行く手の山頂からこちらを眺める登山者の視線や、山頂直下(硫黄岳寄り)の鎖場からこちらを見て飛んでくる「すごーい!」という黄色い歓声を意識しながらてくてく。

山頂の真下からの最終ピッチは、これも事前の打合せ通りハマちゃんのリード。まったく危なげなく登っていったハマちゃんは、山頂で先ほどの黄色い声の主であるギャルたちの歓迎を受けたようですが、ついでyokkoさん、最後に私が山頂に達してみるとギャルたちの姿は既になく、先ほどのトレイルランナー風の若者ともう一人の男子が待っていただけでした。

無念……。

■15:25-40 横岳山頂 ■15:50 稜線から下降開始 ■16:15 大同心取付下

横岳山頂でロープを畳み、行動食をとってしばしまったり。

登ってきた小同心を見下ろし、遠くの赤岳や阿弥陀岳、反対側の硫黄岳を眺めて無雪期の八ヶ岳の展望を楽しんでから、下山を開始しました。

折しも東側から吹き上がってきているガスの中にブロッケンが浮かんでいましたが、下る方向はそちらとは反対の西側。大同心ルンゼの源頭部を下降します。

易しいクライムダウンも交えて小同心と大同心の間を下り、再び大同心の基部を巻いて大同心稜に復帰。元来た踏み跡を急降下しました。

登山道に戻ってほっと一息。ここから生ビールが待っている赤岳鉱泉までは、5分もかかりません。

■17:00 赤岳鉱泉

赤岳鉱泉でまずは乾杯!NO BEER, NO CLIMBING。

テントにギア類を放り込んで、夕食は自炊場のテーブルを借りました。小屋で調達した赤ワインを飲みながらのんびり食事をしている内にあたりは暗くなってきましたが、就寝前にひとつやっておくことがあります。

それは反省会。yokkoさんは支点構築には十分に慣れてきた感がありますが、ロープの引上げが遅く、クライマーがロープの動きを待つ場面がしばしばあったため、その対策を確認する必要があったのです。しかし実は、ビレイデバイスをATCガイド等のオートブロックビレイデバイスに変えて支点ビレイにするだけで、この問題はかなり解消されるはず。安全性に加えてロープの操作性が格段に向上するのですから、これを使わない手はありません。私のATCガイドを使ってみてその有用性を確認したyokkoさん、またまたギアが増えることになりそうです。

2014/09/07

■07:50 赤岳鉱泉 ■09:00 美濃戸

4時に起床し5時半に出発の予定でしたが、昨夜夕食が終わる頃から時折激しい雨が降るようになっており、その雨は朝方まで断続的に降り続いていました。残念ながら、この日の中山尾根行きは中止です。

6時頃までシュラフの中でうだうだしてから、朝食。そしてテント撤収。

しっとりと濡れた草木や苔を愛でながら歩いて、わずか1時間10分で美濃戸に到着しました。

yokkoさん、ハマちゃん、お疲れさまでした。今回、小同心クラックだけしか登れなかったのは少々残念でしたが、それでもマルチピッチルートを自力で登ることの楽しさを実感できたことと思います。ゲレンデでの練習を重ねて、またどこかの本チャンへ行きましょう。