横岳西壁中山尾根〔敗退〕

山頂  
分類 八ヶ岳 / アルパイン
日程 2010/12/29-30
同行 きむっち
概要 初日は赤岳鉱泉泊。二日目、中山尾根の取付まで達したものの、気象条件を勘案して登攀を断念。赤岳鉱泉で軽くアイスクライミングの練習をしてから下山。

下部岩壁。先行の3人パーティーが1ピッチ目登攀の途中でした。(2010/12/30撮影)

撤退。横殴りの風雪の中で思案しばし、今回は自重することにしました。(2010/12/30撮影)

八ヶ岳の中山尾根には2004年に登っているのですが、そのときはA0しまくりの不本意な登り方に終わってしまったため、自分の中では「技量を上げて再度挑戦したい」ルートのひとつとなっていました。そこで、仕事納めの翌日からの二日間での中山尾根リベンジ山行を企画し、きむっちに声を掛けてご一緒いただくこととしましたが、結果は残念ながら取付敗退……。

2010/12/29

■11:40 美濃戸口 ■12:30-40 美濃戸 ■14:15 赤岳鉱泉

新宿駅のホームできむっちと待ち合わせて、午前8時発のスーパーあずさで一路茅野へ。事前の天気予報では年末の山岳地帯は荒れ模様となっていましたが、登攀予定日の30日はその「荒れ始め」の日ということになっています。微妙だな〜とは思ったものの、久しぶりに雪山の感触をつかむだけでも意味はあるかな、ということで決行としました(もっともきむっちの方は、この日の3日前にも谷川岳に入っているのですが)。茅野からバスに乗って、美濃戸口。そして、雪に覆われてはいるものの意外に暖かい道を美濃戸へ。北沢沿いの道に入って林道を離れたあたりからはさすがに気温も下がり、ストックを持つ手も素手ではつらくなってきたのでグラブをはめましたが、さしたる時間もかからずに赤岳鉱泉に着きました。

窓の外の吹雪模様を眺めながら、夕食の時間まで大広間でまったりとビールや焼酎を堪能。この日は宿泊者はずいぶん少ないようで、大広間に泊まった宿泊客は全員が上下二段の棚のいずれかに収まっていました。同宿者同士で四方山話に花が咲くうちに、その中の一人が携帯電話で天気予報を見てくれたのですが、翌日の夜には二つ玉低気圧が日本列島上空を通過しているとのこと。ということは、明日は天気は悪くなる一方なので、登攀開始時点の状況をみてそこから登攀終了までの安全マージンを判断しなければならないということだな、と酔った頭で考察。

食事がおいしいことで定評のある赤岳鉱泉の今宵の夕食のメインディッシュは、ボリュームたっぷりのステーキでした。素敵!

2010/12/30

■06:45 赤岳鉱泉 ■07:15 中山乗越

あまりの寝心地の良さに思い切り寝過ごして5時半に目が覚め、あわてて外に出て空を見上げてみたところ、まだ真っ暗の空にはきれいに月も星も輝いています。これは快晴だ、ときむっちを起こして出発準備開始。ところが手違いがあって、宿に頼んでいたお弁当ができていませんでした。恐縮するスタッフの方がささっと作ってくれたお弁当はおこわと赤飯、それに煮魚。ささっと食べて身繕いをして出発したときにはすっかり明るくなっていましたが、空は既に暗い雲に覆われ始めており、文字通り前途に暗雲垂れ込める雰囲気です。

朝一番の登りで息を切らせながら中山乗越に着き、すぐに左手へ尾根を登ります。ありがたいことに真新しいトレイルができており、その跡を辿ってどんどん高度を上げると、やがて尾根がぐっと細くなってその先に下部岩壁が見えてきました。

■07:55-08:20 下部岩壁取付

下部岩壁の取付には、先ほどまでの道をトレースしてくれていたとおぼしき3人パーティーがいて、トップは既に1ピッチ目の終了点近くまで登っているところでした。我々もゆっくり近づいて挨拶し、彼らのトップが安定した位置まで登りきるのを待ちましたが、そうこうしている間にも周囲の視界はどんどん悪くなり、時折吹き上げる風が雪を我々に叩き付けてきます。右手のルンゼでは大量のチリ雪崩が落ちており、なんとも険悪な様相。

やがて先行パーティーのトップからコールがかかり、待機していた男女二人が相次いで発進していきましたが、それまでの間に我々はすっかり身体を冷やしてしまい、二人ともプラブーツにもかかわらず爪先が痛くなってきました。風は横からも殴りつけるように吹いてきて、目出帽をしていても頬が凍り付きそうです。しかも事前の予報では、天気は悪化の一途。きむっちと協議の結果、今回は潔くここで撤退することにしました。

■08:55-09:00 中山乗越 ■09:20-10:50 赤岳鉱泉 ■11:45-55 美濃戸 ■12:35 美濃戸口

取付から懸垂下降で1ピッチ、さらに短い痩せ尾根を慎重に下ると樹林帯に入ってほっとします。せっかく稼いだ高度をぐんぐん下げてゆくと後続パーティーとすれ違いましたが、彼らも取付での様子で判断するとのこと。中山乗越からは歩きやすい道をとっとと下って赤岳鉱泉に戻りましたが、このまま帰るのは癪なので、小屋の受付で申し込んでアイスクライミングの真似事で遊んでいくことにしました。もっとも、いきなり巨大なアイスキャンデーに取り付くほどの無謀さはなく、その近くにある高さ5mほどの小さな氷壁を使っての練習です。

今回は私が新品のクォーク2本を持ってきていたので、それを使ってきむっちと交互にTRで何本か登り、さらにトラバースやクライムダウンも交えて1時間ほど。その間、稜線の方はすっかりガスに覆われており、赤岳鉱泉周辺でも雪が舞っていましたが、中山尾根の先行パーティーやすれ違ったパーティーは無事登りきることができたのでしょうか?

下界に着いてみれば、青空も顔を覗かせています。してみると、果たして撤退の判断は正しかったのか?取付でのガスと寒風も、冬山らしいコンディションと言ってしまえばそれまでではあったのですが……。しかし、予報はさらなる天候悪化を告げていたので、その場の判断としては妥当だったと思います。以前は、撤退した後に天候が回復すると激しく後悔したものですが、今は、そのとき与えられていた情報に照らして適切な判断をしていたのであれば、その後に結果として反対方向へ転んだとしても仕方ないと割り切るようになってきました。ただなあ、交通費がJRとバスで往復12,220円、宿泊費が一泊二食で9,000円。〆て21,220円かけてステーキを食べに行った計算だなあ。確かにおいしかったけど……。

ともあれきむっち、今回は残念な結果になりましたが、いつか必ずリベンジしましょう!