太田切川中御所谷西横川

山頂  
分類 中央アルプス / 沢登り
日程 2009/10/17
同行 T女史
概要 千畳敷へ向かうロープウェイの起点となるしらび平からわずかに車道を戻って、しらび橋から入渓。西横川を遡行して、長谷部新道が横断するところで遡行終了。そのまま長谷部新道を千畳敷へ。
西横川のあらまし。晴れていれば素晴らしい渓相を堪能できたと思うのですが……。(2009/10/17撮影)
30m大滝。左壁から簡単に越えられますが、夏ならシャワーを浴びてもよさそう。(2009/10/17撮影)
20mナメ滝。これも水流の左右どちらからでも登れそう。(2009/10/17撮影)

2001年のキリマンジャロ以来の山友達であるT女史と、今年は中央アルプスの中御所谷流域へ向かうことになりました。ときどき拝見しているたつのさんの『山登りのページ』で絶賛されている西横川は前から気になっていて、遡行終了後は稜線の山小屋泊後に三ノ沢岳ハイクか宝剣岳中央稜登攀を組み合わせてみようかと思ったのですが、T女史の希望でもう一本沢登りをすることになり、それならと中御所谷の本谷と組み合わせて二日で2本の沢旅です。本当はもっと沢登りに適した9月にご一緒する予定だったのですが、夏に一ヶ月勤めたGパトの仕事がT女史の身体にダメージとして残っていたらしく、しばらくは身体を動かすのも辛かった模様。というわけで、雪の訪れを心配しながらの10月中旬の沢登りとなりました。待ち合わせは、駒ヶ根駅。新宿からの高速バスで午前1時に着いた私を大阪から車を飛ばしてきたT女史がピックアップして、菅の台のどんづまりの駐車場にビバーク。短い睡眠の後、始発のバスに乗ってしらび平に向かいました。

2009/10/17

■06:45 しらび平 ■07:15 二俣

空はどんよりと曇り、予報では午後から雨。これではさっさと片付けるしかないな、と割り切ってしらび平から車道を少し戻った橋の右から、がらがらに荒れた雰囲気の沢筋に下りました。すぐ目の前の堰堤を左から越え、次の堰堤は右から越えると少し進んだところで西横川と東横川を分ける二俣。右手の東横川は左岸ののしかかるような巨岩の奥に20mの滝をかけてなかなか立派そうですが、左の西横川も岩の上を水流が流れてなんとなくいい感じ。

西横川に入って15分ほどもしたところから、最初の連瀑帯。くねくねとした樋状の滝を皮切りに数m程度の小滝がいくつか続き、その間にナメも現れます。周囲の木や草も色づいていて、これで天気が良ければ最高なのでしょうが、いかんせん空は灰色で空気も水も冷たく、積極的に水に入る気にはなれません。

4つ目の小滝を右から越すと、前方に30mの大滝が現れました。これはなかなか立派。夏ならシャワーでも良さそうですが、落ち口のあたりは立っていて難しそうでもあります。当然我々は乾いてホールド豊富な左壁から簡単に登りました。大滝のすぐ上には10mナメ滝が広がっており、これも適当にラインを見出して登りましたが、意外に一筋縄ではいかないところもあって、少し冷や汗をかきました。

この滝の上に整地された場所があり、近くに焚き火の跡もありましたから、ここで比較的最近に幕営したパーティーがいるのでしょう。もちろん我々は先を急ぐ身、そのままぼこぼこの岩の上を進んで行くと、逆くの字に折れた10mほどの滝。これも左の乾いたところを選んで越えていきました。

このあたりから先も、遡行図と突き合わせるのが面倒になるくらい次々に現れる10m程度の滝やナメをどんどん越えて楽しいところ。ガスがかかってはいるものの時折は薄日もさしたりしてラッキーでしたが、それでも、たぶんこの沢の魅力の半分も味わうことはできていないのだと思います。やがて二俣を左に入って三条の水を落とす6mのナメ滝を右から巻き上がると、水量はぐっと減ってゴーロ状になってきます。

奥の二俣を再び左へ入ると、出だしは階段状の滝が30m続き、続いて壁のように現れる8m滝を最後くらいは濡れなくてはと右寄りから飛沫をかぶりながら登って、あとはゴーロをひたすら登るだけ。

前方に最後の二俣が見えてきたところで、水もすっかり涸れているので靴をアプローチシューズに履き替え、そこからわずかの登りで木に赤テープ。その上にはトラロープの残骸と写真がリアルな遭難碑(ちょっと怖い)があって、長谷部新道に達したことがわかりました。遡行開始からここまで、実働3時間半といったところでしょうか。持参したロープも、結局使用しませんでした。

■10:20 長谷部新道 ■11:15 千畳敷ロープウェイ駅

長谷部新道は今は廃道になっているらしく、実際に西横川と交差するあたりは荒れていましたが、尾根をひとつ回り込むとしっかりした道が水平に伸びていて、快適に歩くことができました。ところどころには高山植物の残骸が残っていて、「これ何?」「……」「元Gパトでしょう!」「花が咲いていないとわからない(開き直り)」といった会話を交わしているうちに、いつの間にかロープウェイ駅が近づいてきます。

千畳敷は、上の方がガスに覆われて寒々しい雰囲気で、おまけに池には氷が張っていたりしてすっかり初冬の装いでした。明日はここへ上がってくる予定なのに……。

ほとんど待ち時間なしでロープウェイに乗って下る途中、眼下には翌日遡行する予定の中御所谷が見えていました。深い谷筋にとても登れそうには見えないスラブ壁をかけた渓相に「厳しそうだ!」「あれはあかんわー」とてんでに感想を漏らしながら下界着。バスで駐車場に戻り、T女史の車で「こまくさの湯」に移動してひと風呂浴びてから、昼寝タイムとしました。その際iPhoneでチェックしてみると、なんと我々の一週間前にひろた氏がやはり中御所谷と西横川〜東横川下降を行っているのを発見。その記事を読みながら、ひろた氏のことだから相当攻撃的なラインで遡行したんだろうなあ、でも我々は安全運転で行こう(寒いし)と心に決めたのは言うまでもありません。

その日の夜は、道の駅・花の里いいじまの駐車場。雨が降りしきっていたので車中宴会でおおいに飲み食いし、その後T女史は車中泊、私はT女史のテントを借りて屋根の下に幕営。冬用のシュラフで暖かく、ぐっすりと眠ることができました。

→「太田切川中御所谷」へ続く。