前川大滝沢

山頂  
分類 東北 / 沢登り
日程 2008/08/02
同行 きむっち / Niizawa氏 / Sakurai師
概要 吾妻連峰北面の前川大滝沢を遡行。100mの滑川大滝は圧倒的。
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前川大滝沢は、出だしから終わりまで滝と釜とナメの王国。上の画像をクリックすると、前川大滝沢の遡行の概要が見られます。(2008/08/02撮影)
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高さ100mとも120mともいう滑川大滝の全貌。圧倒的な迫力に呆然と見上げるしかありません。(2008/08/02撮影)
この日は曇り空でしたが、それでも十分に癒される明るい渓相。(2008/08/02撮影)

100mの大滝と美しいナメや釜を擁する前川大滝沢は、前々から行ってみたい沢のひとつでした。腰を傷めてしばらく山行をご一緒できなかったNiizawa氏が復活の兆しを見せていたので、それではリハビリも兼ねて日帰りで前川大滝沢に行きましょうと誘ったのが6月初旬。その後、Sakurai師、きむっちも誘って4人パーティーとなりました。

2008/08/02

■07:00 滑川橋 ■08:00-15 滑川大滝下

Niizawa号で未明に滑川橋近くの駐車スペースに到着し、そのまま社内で寝苦しい仮眠。朝、眠い目をこすりながら起きだして朝食をとり、沢装備を装着しているうちに二人組が先行していきました。また、我々のすぐ横で数人のパーティーが準備をしており、後でこのパーティーと行き会うことになります。

滑川橋の左岸側から沢に下りると、早くもナメ沢の雰囲気が漂いいい感じ。久しぶりにフェルトソールを履いたSakurai師は「めっちゃ怖い!」を連発していましたが、残る3人は無情にもその声を無視して先を急ぎました。最初の大きな滝は数段に分かれた20mくらいのナメ滝で、左手のバンドから近づいて二段目に達し、そこから水流の左側をフリクションで登っていきます。賢いNiizawa氏はより容易そうな右側から登っていましたが、Sakurai師は私の後について左側を登って途中でハマり、ロープのお助けを要求しました。

この沢でロープを出したのは、これが最初で最後でした。

この滝の上から、ナメ床が浸食で複雑な立体構造を持つ面白い地形になり、すぐに出てくる釜で早速泳いでみたのですが、私のへなちょこ横泳ぎでは最後のところで水流に押し戻されるようになり、へつりで先行していたNiizawa氏にお助け紐を出してもらいました。さらに続く黄色いナメ床とナメ滝をひたひたとフリクションを楽しみながら遡行していくと、入渓1時間もたたないうちに前方に巨大な壁が登場しました。これがお目当ての滑川大滝100mです。これは、本当に大きい。はるか頭上の落ち口を見上げていると首が痛くなるほどですが、高さだけでなく幅も立派で、非常に貫禄があります。きむっちは喜び勇んでハングから水が落ちているテラスに駆け上がり、修行のポーズ。若いなあ。

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しばらく大滝の前で呆然としていましたが、まだまだ先は長いので、去りがたい気持ちを押さえつけて右岸の土のルンゼにつけられた踏み跡を辿って巻きにかかりました。巻き道は明瞭で、ルンゼからやがて右手へ尾根筋を辿り、さらに高度感のあるトラバースに移ります。途中のルンゼのトラバースでは過去に事故もあったそうですが、今回歩いてみた限りではロープの必要性を感じませんでした。そのまま樹林帯を抜けると、大滝の落ち口の少し上に自然に下り着くことができます。

大滝の上も、素晴らしいナメの合間に楽しい滝や釜が連続します。釜は泳いでもいいし、無意味に側壁をへつって技術を誇示してもOK。滝もほとんどが直登でき、ちょっと水勢の強い滝では一人ずつ腕試しをしてみたりして遊びました。

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右岸からネコノ沢が合わさる先の乾いた岩の上で、小休止。きむっちがデラウェアを分けてくれて豊かな休憩となりましたが、このとき後ろから追いついてきた4人パーティーの先頭を行くキャップ姿の男性の顔に見覚えがありました。渓友塾のパーティーに違いありません。このパーティーは、その先の巨大なプールを擁した滝の下で休憩しており、我々が追いついたときには盛んにプールで泳いだりして遊んでいましたが、さらに先の幅広の滝で左壁のIII級程度のクライミングに我々が順番に挑んでいる間に右壁から登ろうとしているのを見かけた後は、出会うことがありませんでした。

それにしてもこの沢、次から次へと滝と釜とナメが連続して、本当に息をつぐ暇がありません。しかも岩のフリクションは申し分なく、巻くにしても道は明瞭で悪い高巻きは一切なし。少々滝が多すぎてお腹一杯になるのが困る、という贅沢な悩みを抱えるくらいで、十分な体力さえあればまったくの初心者でも楽しめる沢です。

前衛芸術のような奇怪な形状の連瀑帯の最後に古い堰堤の跡を発見し、さらに頭上に吊り橋跡を見上げるようになるあたりは、かつて鉄鉱石を掘り出した鉱山があったそうですが、それよりもところどころで硫黄の匂いが漂い、吾妻連峰が火山であることを再認識させられました。この頃から、さしもの大滝沢もゴーロ状になってきますが、ゴーロ状になってもボルダーチックな岩がごろごろしており、遡行の楽しさは変わりません。

■12:15-13:00 登山道横断点(潜滝往復含む) ■14:15 滑川温泉

ゴーロ状を進むと岩の上に赤ペンキが見え、左手を見れば道標もあって、ここが登山道横断点だとすぐにわかります。ザックをデポし、さらに進むとほんのわずかで正面の岩を断ち割り、穴を穿つように滝が落ちている光景に行き当たりました。これが今回の遡行の最終目的地、潜滝(もぐりたき)です。その不思議な形状は、長い年月の水の浸食作用が作り上げたもの。一種敬虔な気持ちにさせられる眺めでもあります。

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登山道横断点に戻って沢装備を解き、スニーカーに履き替えて登山道を滑川温泉に向けて下りました。道は平坦で歩きやすく、途中の区間はトロッコの軌道跡をそのまま道にしていて、レールや台車などが往時を偲ばせます。大滝展望台からは大滝の上半分しか見ることができずちょっとがっかりしましたが、そこから右手へたった15分の下りで滑川温泉に下り着けたのにはびっくり。もちろん明るい露天風呂でさっぱりしてから、帰路につきました。

前川大滝沢は、上述の通り危険なところはほとんどなく明るい沢で、ここなら何度来てもいいと思わせる素晴らしい沢でした。ただ、そうは言っても東京からは少々遠い。その遠い大滝沢まで往復の道のりを運転し続けてくれたNiizawaさん、どうもありがとうございました。腰の方も問題なかったようですし、次は錦秋の上越の沢にご一緒しましょう。もちろんSakurai師も、きむっちも。