日原川川苔谷逆川

山頂  
分類 関東周辺 / 沢登り
日程 2007/08/04
同行 ナカジ / オグ
概要 奥多摩駅からバスで250円の川乗橋から川苔谷沿いの林道を30分で逆川に入渓。ウスバ林道が横断する地点で遡行を終了し、百尋ノ滝を見物して川乗橋まで戻った。

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最初の二段10m滝に呆然とするナカジとオグ。上の画像をクリックすると、逆川の遡行の概要が見られます。(2007/08/04撮影)

水流の強い三段10m滝の三段目。つっぱりで抜けます。(2007/08/04撮影)

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ハイライトの10m滝。ご覧の通りのラインで問題なく登れます。(2007/08/04撮影)

今年の東京の梅雨明けは8月1日と遅め。したがって、この日は梅雨明け最初の土曜日ということになります。おまけに、ちょうど2日前に関東地方にまとまった雨を降らせた台風が日本海にいるおかげで南からの熱い大気が吹き込んで、この日の東京は真夏日。つまり絶好の沢日和です。そんなわけで、ナカジ&オグの二人を連れて今年最初の沢登りは初級者から中級者まで楽しめると評判の、奥多摩の逆川にしました。

奥多摩駅に午前9時に集合。川乗橋までタクシーを飛ばすつもりでしたが、タクシー乗り場に列はあれども車は1台もなく、結局9時33分発のバスに乗ることになりました。

2007/08/04

■09:45 川乗橋 ■10:20 カーブミラー ■11:25-45 逆川出合

川乗橋のバス停で降りて、ゲートの脇を通ってまずはきれいに舗装されて歩きやすい林道をゆっくり登ります。緩やかな坂道を汗をかきかき歩いて、いったん竜王橋に辿り着いてからしばらく戻り、トポに記述のあるカーブミラーから下降を開始しました。ところが、上流方向へ続く踏み跡はすぐに急な土のルンゼになってちょっとデンジャラス。おかしいな、とは思うものの引き返すのも癪なので、ロープを出して懸垂下降2ピッチで川苔谷に下り着くと、そこはちょうど逆川出合のわずかに上流側でした。後で調べてみると、時折拝見している『賀来家のファミリー登山』の逆川の記事の中に「『白山書房:東京周辺の沢』ではカーブミラーから上流方向へ踏み跡を行くように書かれているが、実際は逆で下流方面へ50mほど踏み跡を辿ると、容易に谷底へ降り立つことができる」とありました。やれやれ、あらかじめこの記事を読んでおくのだった……。

■11:50 二段10m滝

黒光りする岩が大まかにごろごろした感じの入口から逆川に入ると、すぐに最初のポイントとなる二段10m滝が現れました。やはり2日前の雨のせいか、かなりの勢いで水流がほとばしっており、これは手応えがありそうです。下段の3mは簡単だと聞いていたので気軽に取り付いてみましたが、やはり水勢に押されて一筋縄ではいきません。いったん戻ってロープをつけてから、二条になっている水流の右側に足を突っ込んで頭から水をかぶりながら突破し、後続の二人を引き上げました。そこから左手の上段7mは見た目難しそうですが、よく眺めれば右壁から水流の右を上へ抜けるラインにホールドが続いていて、少なくともこの日に限っては上段の方が容易でした。

二段10mを越えてしばらく進むと、明るく日差しが射し込む下に細長い釜を持つ小滝が待っていました。腰まで水に浸かって取り付いたオグがああでもないこうでもないと取り組んでみたのですが、その都度釜に落ちてしまいます。選手交替してナカジもトライしましたが、やはりうまくいきません。というわけでにやにやしながらの先生(私)のお手本は正統派の両足突っ張りでの突破で、このあたりは技術というよりも経験がモノをいうところですが、この小滝はジムナスティックでとても楽しめました。

■13:25-35 ゴルジュ

出発が遅かったこともあり、昼食休憩を一本入れてから遡行継続。トポには記載のない可愛らしい小滝や小ナメを次々に越していくと、顕著なゴルジュ帯に到達しました。最初の小さい釜を持つ2m滝は、腰までの深さを右から回り込んで右壁のホールドを拾えば容易。そのまま廊下のような地形をくねくねと辿って、傾斜の緩い滝をひとつ越えるとゴルジュ出口の釜を持つ4m滝。ここは昔は泳いだようですが、今はすっかり埋まって左から行けば腰までも届かず、残置されたスリングを使って強引に乗り上がりました。

ゴルジュの先しばらくで何ということもない小ゴルジュを抜けると仕事道の橋が頭上を通り、ついで倒木がかかった4m滝、さらに斜めに掛かる造型の面白いナメ滝を過ぎて大ダワ沢の滝を右から合わせました。この後も3mくらいの滝が次々に現れてまったく飽きることがなく、まるで沢の遊園地の中にいるようです。

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■14:25-45 三段10m滝+4m滝 ■14:50-15:30 ハイライトの10m滝

逆川の最終コーナーは、一直線に水を落とす三段10m滝、これに直ちに接続する4m滝、そしてウスバ林道直下に壁のように立ち塞がる10m滝。まず三段10m滝ですが、下二段はまったくもって簡単。そして三段目は樋状になっていて水勢もかなり強いのですが、両足を開いて上手にステミングの態勢を作れば、そのままじわじわと上へ抜けることができます。ナカジとオグはロープで確保して登ってもらい、特にナカジはけっこう緊張した面持ちでしたが、最初のジムナスティックな滝での練習がよかったようで、二人とも問題なく抜けてきました。

三段目の滝のすぐ上には一見出だしが立っているように見える4m滝が待っていますが、右壁からアプローチするとガバホールドがあって身体を引き上げられ、あとは傾斜も緩んで難しくなくなります。

そしてお待ちかね、ハイライトの10m滝が登場しました。ここで滝に取り付いていた先行パーティー5人組が、この日初めて見た他パーティーです。ちょうど先行パーティーのトップが滝の右壁にじわじわとロープを伸ばしているところで、そちらも水が流れていてちょっと嫌らしそうでしたが、やがて無事に上に抜けてロープを固定し、途中3人は(たぶん)タイブロックで、そして最後の一人は支点を取り直して引き上げられていきました。これを見ながら、ナカジと私の会話。

ナ「あのー、左側から(滝を巻いて)登る訳にはいかないんでしょうか?」、
私「ダメです!あれを登らなければ逆川を登ったことになりません」
ナ「……」

先行パーティーのラストが滝の上に達したのを見て、我々も滝下へ移動。ピトンは3箇所あり、最初は右の草付とのコンタクトライン、次は途中のテラスに立って上、最後がさらに一段上がったところです。ここはオグにビレイを頼み、傾斜の緩い右側からコンタクトラインの凸凹を利用してテラスに乗り上がると、そこから3m程は傾斜が立っていますが、そのかわりしっかりしたガバホールド。最後、落ち口の下で傾斜が緩んで簡単に滝の上へ出て、オグ、ナカジの順に迎え入れました。途中の立った壁は苦労するかなと思いましたが、ジムのグレードで5.7くらいの感じなので、二人とも全く問題なく登ってきてくれました。

■15:35-50 ウスバ林道横断地点 ■16:10 ウスバ乗越 ■17:15-20 百尋ノ滝 ■18:40 川乗橋

滝のすぐ上をウスバ林道が横断していました。先ほど「最終コーナー」と書きましたが、時間に余裕があればそのまま川苔山まで沢を詰めると、さらに楽しい25m滝が待っているようです。しかし、さすがに二人とも疲れてきているし、第一もう下山にかからないと明るい内に帰れなくなります。沢靴を脱ぎ、ハーネスをはずしてハイキングルックに変身すると、ウスバ林道の歩きにかかりました。ここからなら大ダワを経て鳩ノ巣駅へ向かってもいいのですが、せっかくなので百尋ノ滝を見物することにし、反対のウスバ乗越方面を目指しました。

しかし、この道は長かった。ほとんど等高線に沿って水平に辿る道はむしろ奥多摩駅方面と反対方向に向かって進んでおり、いつまでたっても下り始める気配を見せません。昔々、登山を始めたばかりの頃はこのあたりの山道も喜んで歩いたものですが、歳をとって横着になってくると、沢登りの後の下山は苦行でしかありません。「腹減った」「疲れた」「遠いなあ」とグチをこぼし合いながら延々と歩いた果てにやっと道は下りはじめ、そしてとうとう百尋ノ滝。幸いなことにこの滝、苦労をして見に行くだけの価値はありました。遥か上の方から垂直に落ちてくる水があたりにマイナスイオンを立ちこめさせて、その一角はまるで神域に入ったかのような厳かさを湛えています。ナカジもオグもこれには感動したようで、オグは「ここ、東京ですよね?」と信じられない様子(右の写真をクリック)。

あとはひたすら登山道を歩いて、林道にやっとのことで到着。そこには、なぜか一人でアンニュイにタバコをふかすバイクのお姉さん。小休止の後に林道をぐんぐん下って、元の川乗橋バス停に着いたときには暗くなってきていました。この後最終バスで奥多摩駅に戻り、「もえぎの湯」(この時期20時半まで受付可)で汗を流し、生ビールで乾杯してから長い長い帰路につきました。

逆川はポイントになる滝がいくつもあって実に面白く、水量が多くて腰までつかって釜を突破したりシャワーを浴びながらの滝登りがあったのも、いかにも夏向きでした(そういう意味では、台風通過直後がお勧め?そのへんの判断は、あくまで自己責任でお願いします)が、ことアプローチに関しては3人とも奥多摩の遠さが身にしみた一日でした。