黒岳〜旭岳

山頂 黒岳1,984m / 北鎮岳2,244m / 旭岳2,291m
分類 北海道
日程 2006/08/14
同行  
概要 層雲峡からロープウェイとリフトを乗り継ぎ、黒岳に登ってから北回りで旭岳に達し、姿見駅へ下山。
黒岳から縦走路の眺め。まっすぐ先にお鉢平を囲む岩壁も見えています。(2006/08/14撮影)
北海道第二の高峰、北鎮岳から見下ろしたお鉢平。(2006/08/14撮影)
裏から見た旭岳の勇姿。残っている雪渓から幕営地に豊富な水が供給されていました。(2006/08/14撮影)

2006/08/14

■07:50 黒岳七合目登山口 ■08:55-09:15 黒岳 ■09:35-40 黒岳石室

層雲峡の野営場から、徒歩10分でロープウェイ駅。ロープウェイが高度を上げるにつれて、後方に昨日登った平山やニセイカウシュッペ山がせり上がり、眼下には層雲峡がどんどん下がっていきます。上の駅からちょっと歩いてリフトに乗り継ぎ、明るく気分のいいリフトの旅を15分続けて、黒岳七合目登山口からいよいよ黒岳への登りにかかりました。

朝のうちは青空が広がっていたのですが、歩き始めてしばらくすると黒岳の山頂方面をガスが覆うようになってしまい、展望が閉ざされてしまいました。しかし、つづら折りの登山道は左右にダイセツトリカブトやナカバキタアザミの紫、ボウフウやシシウドの白がきれいで退屈しません。そうこうするうちに、登山者や観光客でにぎわう黒岳山頂に到着。ここで、麓のコンビニで買ったおにぎりとリンゴで朝食にしましたが、ガスの切れ間にお鉢平方面の縦走路が見えており、時折は白雲岳の姿も見通すことができて周りから歓声が上がりました。

山頂から、正面の道をまっすぐに下ってわずかで、道の右手に黒岳石室が建っています。立ち寄って、石室の前にいた管理人さんに今日泊まる予定の裏旭幕営指定地の水の状況を聞いてみましたが、「水はあるかなぁ。施設も何もないよ」と、どうせ泊まるのならウチに泊まっていきなよ、と聴こえなくもない情報提供を受けました。確かに、ここに泊まるのは快適でしょうし、近くの桂月岳(あの大町桂月が名前の由来)から見る御来光も素晴らしいらしいのですが、いくらなんでも時刻が早すぎます。管理人さんの親切(?)に感謝しつつ、先に進むことにしました。

引き続き、平坦で歩きやすい道をてくてく歩き。道の脇にはチングルマならぬヒゲグルマが目立ち、砂礫地にはコマクサも咲いていて、これらは7月にここを歩いていたら素晴らしい花畑だったに違いありません。お鉢平が近づくにつれ、左手に赤石川の赤茶けた谷筋が地面をえぐるようになってきて、緩やかな登りの後に、巨大なカルデラのお鉢平を見下ろす展望台に到着しました。

■10:25-35 お鉢平展望台 ■11:10 北鎮分岐 ■11:25-45 北鎮岳

目の前にお鉢平を見下ろす展望台(といっても単にカルデラの縁の一角)に着いたところで、待ち構えていた北大ヒグマ研究グループ(略して「クマ研」)のアンケート調査を受けました。アンケートの内容は、ヒグマに遭ったことがあるか、ヒグマ対策としてどんな注意をしているか、ヒグマに出くわしたらどう行動するか、といったもの。回答終了後には、クマ研秘伝のヒグマ対策のノウハウが書かれたちらしをもらいました。それによれば、ヒグマに出会わないようにするにはやはりクマ鈴、笛が有効で、それでもヒグマに出会ったときは次のように対処するのが吉(© クマ研)とのこと。

  1. ヒグマが気づいていない場合、気づかれないようにそっと静かに後ずさりして立ち去りましょう。
  2. ヒグマがこちらに気づいている場合、大声を出す、笛を吹く、手を振るなどでこちらの存在をクマにアピールしましょう。多くの場合ヒグマはその場を立ち去ります。
  3. ヒグマが立ち去らず近距離(20m)まで近づいてきたら、ザックをヒグマの方に投げ、ヒグマの注意をそらしてゆっくり後ずさりして逃げましょう。

もちろん、決してヒグマに背を向けて、走って逃げてはいけませんだそうです。

ひとしきりアンケートに応えてから、あらためて見下ろす目の前のお鉢平は、やはり巨大。ここは、かつての中央火口が陥没したもので、地形自体は穏やかですが中央部は赤茶けています。集落がひとつすっぽり入りそうなほどの広さですが有毒ガスとヒグマの世界で、人間は立入禁止です。上述のクマ研のメンバーは大きな双眼鏡でしきりにお鉢平の中を見回していましたから、どうやら今でもヒグマが棲んでいるようです。

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一休み後、そのまま北側に回って、ちょっと急な登りにかかりました。道の右手には雪渓から豊富な水が流れ出していて、こちらの水は飲用にもなる模様。そして到着した北鎮分岐にザックをデポし、コンビニ袋にサンドイッチとフルーツ缶詰、お茶を詰めて北鎮岳に向かいました。お鉢平の周遊路をちょっと離れたところにある北鎮岳は標高2,244m、旭岳に次いで北海道第二の高峰ですが、分岐からはほんの少しの登りで到着しました。

山頂にはベンチなどもしつらえられており、そのひとつに腰掛けて昼食としました。北には鋸岳から比布岳にかけての荒々しい稜線が見えていますが、左下遠くに広がる裾合平は柔らかな緑の斜面で気持ちよく歩けそうです。あいにくの雲で遠望がきかず、他の登山者も手持ち無沙汰そうにあたりを眺め回していましたが、突然現れたカラスが「カーッ!」と大声をあげながら登山者のひとりの至近距離を通過して、仰天した登山者がひっくりかえりそうになり、それを見た他の登山者は一様ににやにや。

■12:00 北鎮分岐 ■12:50 間宮岳 ■14:15-35 旭岳 ■15:45 姿見駅

北鎮分岐に戻ってザックを回収し、お鉢平の縁を回る歩きを続けました。いったん緩やかに下った道は、右手に裾合平方面への道を分けると登りに転じ、しばらくのがんばりで起伏に乏しい間宮岳(こちらは間宮林蔵が名前の由来)に到着。といっても、山頂標識の周囲には何もなく、その少し先にコースの分岐点があって、そのまま進めばお鉢平の南回りコースを辿って北海岳から黒岳に戻れます。自分が向かうのは右(西)、旭岳方面です。

道の右手に熊ヶ岳の火口跡らしき不思議な地形を眺め、さらに左手には時折ガスに隠されながらも忠別岳や化雲岳、そしてはるかトムラウシ山の姿を認めて喜びながら歩きやすい道を下ると、目の前には頂上を黒雲に覆われた旭岳が立ち上がっていて、その手前には幕営指定地が見えました。黒岳石室の管理人さんが言った通り施設は何もありませんが、何箇所かの風よけの石積みはしっかりしていて水も雪渓からちゃんと流れており、トイレの問題を除けば快適に泊まれそうです。

……とは言うものの、実はロープウェイに乗る前に立ち寄ったコンビニで「明日は天気がよくない」という情報を仕入れていましたし、先程間宮岳からの下りですれ違った登山者も同じことを言っていました。それに時刻もまだ早く、何より他に誰もいないテン場で黒雲に見下ろされるのは、なんだか寂しい気がします。しばらく迷いながらぼけっとテン場に座っていましたが、やがてふんぎりをつけて立ち上がり、今日のうちに旭岳を越えて下山することにしました。

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砂礫の急坂を登って辿り着いた17年振りの旭岳はガスの中でしたが、姿見方面からはひっきりなしに登山者が登ってきており、時折は熊ヶ岳方面の眺めも得られました。しばらくはザックに腰掛けて写真などを撮っていましたが、だんだん寒くなってきたので、適当なところで切り上げて下山にかかりました。

途中小雨に降られながら、ガレた滑りやすい道を姿見まで歩きました。下り着いた姿見ノ池から振り返った旭岳は中腹から上をガスの中に隠していましたが、爆裂火口下部の硫黄の噴気口から立ち上がる噴気は、相変わらずこの火山が生きていることを実感させてくれます。ここで旭岳に、そしてその向こうにある大雪の山々に別れを告げて、霧が立ちこめる道をとぼとぼとロープウェイ駅まで歩きました。