一ノ瀬川竜喰谷

山頂  
分類 関東周辺 / 沢登り
日程 2005/07/16
同行 Niizawa氏
概要 一ノ瀬林道の石楠花橋からわずかに戻った駐車スペースから一ノ瀬川に下り、すぐに左岸に出合う竜喰谷を遡行。大常木林道で遡行を終了し、林道を下降。

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4m幅広滝。上の画像をクリックすると、竜喰谷の遡行の概要が見られます。(2005/07/16撮影)

12m下駄小屋ノ滝。左のリッジから簡単に登れます。(2005/07/16撮影)

10m曲り滝。右壁を直登(III+)。(2005/07/16撮影)

海の日の連休はNiizawa氏と北岳バットレスを狙っていましたが、あいにく日曜日の予報は雨模様。それでは日帰りの沢でお茶を濁すか、と選んだのがこの竜喰谷です。遡行時間も手頃で、しかしいくつかの滝はそれなりに手応えがあるようです。眠い目をこすりながら5時過ぎの電車に乗って調布でNiizawa氏と待ち合わせ、ぐるっと塩山経由で一ノ瀬林道に入りました。

2005/07/16

■08:15 入渓点 ■09:10 下駄小屋ノ滝 ■09:40 曲り滝の下

石楠花橋のわずかに奥多摩寄り、車3台分くらいの駐車スペースにNiizawa号を停め、沢装備を身につけて裏手からよく踏まれた道を下りました。なんだかゴミが多いなぁと思っていたらテレビまで捨ててあってびっくり。すぐに一ノ瀬川に降り立ち、適当なところから左岸に渡りました。目の前の滝を右からやり過ごすと、すぐそこが竜喰谷でした。一ノ瀬川の連続する滝の真ん中に右(左岸)から入っている変わった出合です。

竜喰谷の最初の滝は幅広の4m。水流の右手から登りましたが、ホールドが乏しくちょっと滑りやすくて、沢登りは久しぶりのNiizawa氏もやや緊張気味です。続いて両壁が迫ってくるようになって、二条の滝は左からへつりました。板状岩壁の下を進むと10分あまりで最初の難関、7m幅広滝が現れました。ヤッケをとりだして観察すると、ラインは水流右。袖をしっかり締めて取り付きましたが、よく見ればホールドはしっかりしており、水をかぶることを厭わなければ難しくはありません。Niizawa氏も「プハーッ!」と上に抜けてきて、まずは竜喰谷の洗礼を受けた感じです。

さらに10分程で12m下駄小屋の滝。竜喰谷で一番高い滝ですが、左から近づいてリッジを登れば簡単ということは、あらかじめの予習で把握しています。Niizawa氏に先行してもらって写真をとり(しかし暗くてきれいに撮れませんでした)、私も後続。最上部は微妙に滑りやすそうで、無理せず左の灌木に逃げました。

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スダレ状の滝、ナメと続いて、今度は10m逆くの字滝。このあたりは10分おきに個性ある滝が現れてくれて、飽きることがありません。先程の下駄小屋ノ滝もそうでしたが、逆くの字滝も水量が豊富で正面突破は難しく、左の水線へ巻き上がる感じで簡単にここを越えました。すると前方にいよいよ本日のメインイベント、10m曲り滝が現れました。ほとんど垂直の岩壁に怒濤の水を落としている曲り滝は、その「10m」という高さ以上に立派に見えます。どういうラインなのかなー、とオブザベーションしながら右壁に近づきましたが、岩はぬるぬるてかてか光って滑りそうだし、どこも外傾してはっきり使えそうなホールドが見えません。しばし黙考……Niizawa氏に「ロープ出して下さい」というと、Niizawa氏は「えっ、巻くんじゃないんですか?」。巻く?Niizawaさん、瀑心流心得ノ条を知らないね。

一、滝はつとめて、瀑心を突破すべし。
一、瀑心かなわずとも、水線を直登すべし。
一、水線かなわずとも、横壁を直登すべし。
一、君もしくは君のメンバーが滑落しても、当局は一切関知しないからそのつもりで。

最後は何かが違うような気もしますが、それはともかくこの曲り滝を直登している記録もしっかり読んでいるので、とにかく取り付けばなんとかなるだろうとロープをハーネスに結びました。実際、右から取り付いてホールドを丹念に追いながらジグザグに登ると(途中2カ所でランナーがとれました)、濡れた岩をいやがる暇もなくいつの間にか中段を過ぎて、あとはガバ頼みの快適な登攀。落ち口の上にあるしっかりした木にスリングを巻いて支点を作って、あらかじめ打ち合わせた通りホイッスルでNiizawa氏に合図を送りました。Niizawa氏の姿は滝の下でまったく見えませんが、上から引くロープのスムーズな流れからNiizawa氏の淀みない動きが伝わってきました。やがて顔を出したNiizawa氏にそのまま安定した場所まで進んでもらって、ビレイ解除。二人で登って準備も含めて30分なら、いいペースと言っていいでしょう。

■10:10 曲り滝の上 ■11:20 シャワーの滝

曲り滝が終わるときれいなナメになって、あとは大した滝はないんだろうと思っていましたが、難しくはないものの楽しめる滝がこの後も次々に現れました。中ノ平沢を左に分けると5分で大きな倒木が倒れかかった滝。ここを左の水線沿いに倒木に苦労しながら登ると、後続していたはずのNiizawa氏が右から簡単に巻き上がって私を待っていてガックリ。引き続いて手前に苔むした倒木が前衛的な姿で立ちはだかる滝があって、ここは真ん中から突破。その次の3m程の小滝は左壁から越えましたが、ホールドが意外に細かく曲り滝よりも緊張しました。さらに出てくる黒光りした滝も左壁に倒木がかかっていますが、むしろ右のつるっとした壁の中にクラックが走っていてさほど苦労せずに越えられます。このあたりも、数分おきに滝が出てきて面白いところです。

右に井戸沢を分けて楯ノ沢と名前を変え、インゼルを過ぎるとゴルジュっぽい地形の向こうに大岩が水流を二条に分けた滝が出てきました。どうしようかな、と近づいてみると右側に洞状の空洞があって、その奥から上へ簡単に抜けることができました。そのすぐ先にもゴルジュの先に岩が行く手をふさいでいる滝が現れ、二匹目のドジョウを狙って近づいてみましたが、さすがに世の中それほど甘くはなく、がんばって水流につっこみながらホールドを探ったものの、あえなく撤退、後からNiizawa氏に、「あれはシャワークライムじゃなくて、単にシャワーですね」と言われてしまいました(右の写真をクリック)。

この滝をすごすごと左壁からトラバースで越えて、次の小滝はやはり真ん中から立ったカンテを登ります。水量が減ってきたことを感じていると、樋状の滝が現れました。両壁はてかてかに磨かれて突っ張りでも登れそうにありませんし、水流の左脇にはランペ状に登路が見えているのですが、それでも滝に近づいてどこかにホールドがないものか、と壁をうらめしげに見上げていると、ヘンなものに気がつきました。目をこらしてみると黒くつるつる光る壁に、直径数cmのゼリー状の透明な物質がひらべったくへばりついています。それも一つや二つではありません。なんだ、これは?正体不明ながら薄気味悪い謎の物質に一気にモチベーションがダウンして(というより技術的に無理という感じだったのですが)、ここも左から抜けました。これで滝は全て終了。続く二俣は左に赤テープの目印があり、その先は沢の水底が白ザレの砂地になってきました。数分先の二俣では右手に顕著なケルンがありましたが、どうせ二ノ瀬方面へ向かうのだからと左に楯ノ沢を進むと、ややあって大常木林道の小さな橋が現れました。ここで遡行終了です。

■11:55-12:20 大常木林道 ■13:20 二ノ瀬 ■13:35 入渓点

ここまで足にまかせてほぼノンストップで遡行してきたので、沢装備を解くとともにエネルギー補給。朝から天気はあまりよいとは言えず、沢の中は少々陰鬱な雰囲気が漂ってもいたのですが、今は高曇りの柔らかい日差しが届いていて暑くもなく寒くもなく、柔らかい草の上に腰を下ろしてパンを食べているとのほほんと幸せな気分になってきます。下山は大常木林道を上流に向かって左へ向かいました。分岐がくれば下へと道をとって、歩きやすいがなかなか高度を下げない道を1時間で二ノ瀬。そこから舗装された車道を15分で石楠花橋です。ここから再びNiizawa号に乗り、奥多摩へ抜けて「もえぎの湯」で汗を流してから都内へ戻りました。

竜喰谷は困難な滝もなく、途中わずかなゴーロを除けばほぼ10分おきに楽しい小滝が続いて、しかも詰めは薮漕ぎなしで林道に出るという文句なしのロケーション。途中何カ所かに釣り師のものとおぼしき焚火の跡もありましたが、とりあえず日帰りの沢で遊びたいと思ったときに手頃な内容と長さだと思いました。このあたりの沢で次に行くとしたら、大常木谷でしょうか?そのときこそはゆったり一泊二日で、焚火遡行としたいものです。