塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

毛無山〜十二ヶ岳

日程:2001/12/16

概要:河口湖と西湖の間の文化洞トンネル脇の登山口から尾根に取り付き、毛無山を経て十二ヶ岳に登る。下山は西湖畔方面へ真っすぐ下り、車道を少し歩いて元の登山口へ。

山頂:毛無山 1500m / 十二ヶ岳 1683m

同行:にょんまい夫妻 / 山女さん

山行寸描

▲十二ヶ岳山頂。真正面に富士山、眼下に西湖、他にも南アルプスや奥秩父全山など展望が素晴らしい。(2001/12/16撮影)

怒濤の一夜が明けて、寝ぼけ眼で部屋の窓から外を見るとドピーカン。目の前の巨大な富士山の姿に一気に目が覚めました。この好天は、超晴れ女でもある山女さんの御利益であるようです。ゆったり朝食をとってからにょんまいカーで移動し、文化洞トンネル手前の登山口駐車場に車を駐めました。今日登る山は富士山の北を御坂峠から西南西に走る御坂山塊から派生する尾根上にある毛無山と十二ヶ岳で、お目当ては富士山方面の明るい展望と、十二ヶ岳直前のスリリングなキレットです。

2001/12/16

△09:30 文化洞トンネル → △11:05-25 毛無山 → △12:55-13:25 十二ヶ岳 → △15:00 文化洞トンネル

文化洞トンネルは河口湖と西湖の間を仕切る尾根を貫通するトンネルで、冬枯れの明るい登山道はその尾根に上がってから真っすぐ毛無山を目指します。登るにつれて背後に富士山が高くなり河口湖と西湖の両方が見下ろせていい気分。青木ヶ原の樹海や御殿場方面の広い裾野、その向こうの昨日登った箱根の山々までも見通すことができて、これ以上ない展望です。

ぐんぐん高度を上げるうちに明るいカヤトの斜面になり、やがて毛無山の山頂に到着しました。今日は昨日と違って風もほとんどなく、ぽかぽかと暖かい山頂広場で小休止としましたが、山頂の一角に登頂者が記帳するノートを入れた赤いケースがあり、山女さんがその中から笑いながら取り出したのはなんと『にこにこ山仲間』のシールが貼られたかまぼこの板!後で知ったところでは「にこかま」と称するようです。にこ山恐るべし……。

ここからがこの山行のメインで、細くて起伏のある稜線を登り降りしながら十二ヶ岳を目指します。といっても岩稜というわけではなく明るい木々に囲まれた道ですが、ところどころザレた斜面やロープがあってそれなりに緊張しました。昨夜の酒が残っていて毛無山の登りでは調子が出なかったまいまいさんも、ここまで来るとすっかり回復してどんどん先に進んでいきます。十二ヶ岳までの間には一ヶ岳、二ヶ岳……とピークごとに標識があるのですが、ピークと呼んでいいのか首をひねりたくなるような場所に標識があったりして、山梨県民のおおらかさアバウトさが察せられます。中で面白かったのは七ヶ岳(右の写真)で、言ってしまえばただの岩の塊なのですが、右のチムニー状のライン(赤線)から上に登ってもいいし、左のかぶったフェース(黄線)をボルダリングの要領で登っても面白い、楽しめるピーク(?)でした。

やがて十一ヶ岳からロープ頼みの逆落しの急降下となり、下りきったキレット部には吊り橋がかかっています。橋の出だしが下方向に向かってつるつる滑りそうに見えますが、ここをこらえて橋に乗り、ゆらゆら揺れながら渡りきると後は鎖混じりのひたすらの急登。長い登りにうんざりし始める頃に頂稜部に出て、わずかに進むと祠の建つ十二ヶ岳山頂でした。

リュックサックを置いて大休止としたここからも目の前に富士山が大きく、富士五湖のうち精進湖以外の四つを見下ろすことができました。そして山頂の金山側に立つ2mほどの岩塔の上に立つと、前方には南アルプスが甲斐駒ヶ岳から塩見岳まで白く、北側には奥秩父の山々が雲取山から金峰山・瑞牆山まで全て見え、さらにその左には雪をかぶった八ヶ岳も一部姿を覗かせているといった具合に素晴らしい展望台になっていました。さすがにこの岩塔には、にょんまい夫妻はもとより自称「高所恐怖症」の山女さんも登って展望を楽しんだ後、温かい飲み物をとってまったりしてから下山を開始しました。

十二ヶ岳からの下りはけっこう滑りやすい急降下でゴム長靴の苦手なパターンですが、30分も下ると傾斜が緩くなって歩きやすくなり、途中の分岐を左手にとって最後に集落に出ました。そして集落を抜けて十二ヶ岳を見上げ、先ほど歩いた稜線に別れを告げてからトンネルをくぐると、そこがにょんまいカーを置いた駐車場でした。

すっかり腹をすかせた4人は、あらかじめ「山女そば」(もちろん「ヤマメソバ」と読む)と書かれた看板を見つけてあった河口湖畔の蕎麦屋に立ち寄って遅い昼食とし、その後渋滞を心配しながら中央自動車道に乗りましたが、なぜか拍子抜けするくらいに道は空いています。これも山女さんの御利益かなと喜びながら、一路東京を目指しました。