甲斐駒ヶ岳 / 仙丈ヶ岳

日程:1992/12/29-1993/01/01

概要:戸台から北沢峠まで歩き北沢長衛小屋に泊。ここをベースに甲斐駒ヶ岳と仙丈ヶ岳にそれぞれ1日かけてピストン後、戸台へ戻る。

山頂:甲斐駒ヶ岳 2967m / 仙丈ヶ岳 3033m

同行:ユウコさん

山行寸描

▲仙水峠から見上げる甲斐駒ヶ岳。摩利支天が威圧してくる。(1992/12/30撮影)
▲甲斐駒ヶ岳の下り。ここでユウコさんが転倒!(1992/12/30撮影)
▲小仙丈ヶ岳からの仙丈ヶ岳。天候に恵まれ楽しい登高だった。(1992/12/31撮影)
▲仙丈ヶ岳から北沢峠へ。天気も展望も最高のハイキング気分。(1992/12/31撮影)

1992/12/29

△09:00 戸台 → △11:55-12:15 丹渓山荘 → △14:15 大平山荘 → △14:50 北沢長衛小屋

伊那北から戸台までタクシーで入り、橋本山荘で食事をとり支度をして出発。小さい尾根を越えて河原に出たところで登山届を出し、雪のない道をひたすら歩きました。晴れていれば前方に甲斐駒ヶ岳が見えるはずですが、今日は雲の中に隠れています。下山してくるパーティーも少なくありませんが、彼らも展望には恵まれなかったことでしょう。

やがて現れた丹渓山荘は無人の様子。昼食をとり、ここから川筋を離れて山道に入ります。八丁坂を登りきって平坦な東大平に入るとようやく雪が現われました。その後何回か林道を横切り、ひょっこり大平山荘の前に飛び出しました。さらにわずかの山道で北沢峠に到着しましたが、今日の宿=北沢長衛小屋は峠から10分下ったところにあります。一目見て小屋がボロいとユウコさんが文句を言いましたが、予約をしている関係上構わず扉を開けました。確かに近代的ではありませんが、よくよく見れば親しみのもてる作りです。

1992/12/30

△06:50 北沢長衛小屋 → △08:00-05 仙水峠 → △09:55-10:00 駒津峰 → △10:20 六方石 → △11:20-40 甲斐駒ヶ岳 → △12:10 六方石 → △12:35 駒津峰 → △13:25 仙水峠 → △14:15 北沢長衛小屋

翌朝、ゆっくり朝食をとってから出発。仙水峠まで静かな道を登りました。しばらく登るうちに背後が開け、やがて仙丈ヶ岳が見えてくる頃から雲が流れ出しました。

仙水峠に着くと目の前に摩利支天が突き立ち、青空の下、山頂まではっきり見えています。右手には鳳凰三山の地蔵岳のオベリスク。ここから急坂の登りになりますが、その入口でいきなり水晶沢方向へ下る踏み跡につられて道を誤り、少々時間をロスしてしまいました。

駒津峰の15分下でアイゼンを装着。鳳凰三山越しに富士山の姿も見えていますが、仙丈ヶ岳は雲に隠れていました。

強風が吹き寄せる駒津峰からは正面に甲斐駒ヶ岳が白く聳えています。駒津峰からやせた尾根を進み、六方石を過ぎると岩稜の直登になりました。アイゼンを着けての岩場歩きは不慣れなため何カ所か足の運びにとまどう箇所がありましたが、おおむね問題なく上部へ抜けられました。

小屋を出てから4時間半で山頂に到着。以前夏に登ったときも展望に恵まれなかったのですが、今回もあたりは真っ白で眺めは全くありません。仕方なくメロンパンとコーヒーで手早く食事をとり、早々に下山を開始しましたが、下りのやや細くなった岩場でユウコさんがアイゼンの爪を他方の足のアイゼンバンドに引っ掛け転倒!頭からつんのめって倒れたものの、手近の岩にしがみついたためそこを支点に身体がぐるりと180度回転したところで止まりなんとか助かりました。危なかった……。

1992/12/31

△07:15 北沢長衛小屋 → △09:30-40 大滝の頭 → △10:10-20 小仙丈ヶ岳 → △11:25-50 仙丈ヶ岳 → △12:45-50 小仙丈ヶ岳 → △13:00-05 大滝の頭 → △14:05 北沢長衛小屋

今日は昨日と違い、出掛けの天候が良くありません。しかし北沢峠から樹林帯に入り、森林限界を抜ける頃にはぐんぐん雲が切れ、雪が眩しく輝きだしました。

大滝の頭からは風を遮るものがない稜線が山頂まで続き、ここからアイゼンを装着してどんどん登ります。小仙丈ヶ岳から前方に登山者の列が点々と続き、その先に仙丈ヶ岳の純白の頂きとカールが現われました。寒風が常に右側(伊那側)から吹き付け、顔の右半分が痛いほど。やがて山頂目前でユウコさんがもう歩けないと言いだしましたが、「ふ〜ん。じゃ、ここで待っていなさい。でも行動食はあげないよ」と脅したところ、ユウコさんは渋々歩みを再開しました。

延々歩き続けてやっと山頂に到着、今度は素晴らしい展望に出会えました。南アルプスのほぼ全山が眺められ、中央アルプスも西に並走していますが、八ヶ岳と北アルプスは雲に覆われています。山頂から少し下った雪の斜面に腰を落ちつけて蒸しパンを食べてから、下山に取り掛かりました。ところが、小さな岩場を下る急斜面でまたもユウコさんががくっと膝を落としてびっくり。これまたすぐに止まって助かったのですが、疲労のために膝に力が入らなくなっていたようです。

小仙丈ヶ岳からは目の前の甲斐駒ヶ岳が立派、まさに山の団十郎です。その甲斐駒ヶ岳めがけて急斜面を一気に駆け下り、小屋に帰り着きました。後で聞くと、小屋の管理人さんたちは、出発があまりにもゆっくりだった我々はとても山頂まで到達できないだろうと思っていたとのこと。帰ってきたユウコさんが登頂したと報告したので、驚き喜んでくれました。しかし、この小屋では大晦日の夜もあっけなく21時に消灯です。

1993/01/01

△07:20 北沢長衛小屋 → △09:00 丹渓山荘 → △11:15 戸台

明ければ元旦の空はよく晴れて、今日が下山日というのは惜しい気もします。3晩も泊まった我々をすっかりVIP扱いしてくれた小屋の管理人ご夫婦に別れを告げて山を下りました。背後の甲斐駒ヶ岳を何度も振り返りながら河原の道を歩いて到着した戸台では、伊那側のタクシーがのんびり正月休みをとっているため、茅野から迎えに来てもらいました。