河内川ボウズクリの沢

山頂  
分類 関東周辺 / 沢登り
日程 2016/04/09
同行 かっきー
概要 西丹沢のボウズクリの沢を遡行。稜線までは詰めず、水涸れの二股から仕事道を辿って下界間近まで下る。

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ボウズクリの滝。上の画像にカーソルを重ねると、その名前の由来が見られます。(2016/04/09撮影)

2段11メートルの滝。直登にトライしたものの、一歩及ばず巻くことに。(2016/04/09撮影)

氷が終われば沢……というわけでシーズン最初の沢は、かっきーのチョイスで丹沢のボウズクリの沢へ。私はこの沢のことをまったく知らなかったのですが、『東京起点 沢登りルート120』にも載っているので、それなりに遡行されているようです。

2016/04/09

■08:55 道の家山北 ■09:15 吊橋 ■09:20-45 入渓点

7時に本厚木でかっきーと合流し、春もたけなわの国道246を西丹沢向けて走ります。清水橋から北上する道はバスで何度も通っていますが、今回は丹沢湖まで行かずその手前の山市場近くの沢なので、道の家山北の向かいにある駐車スペースに車を置き、バス停二つ分ほどを歩くことにしました。

のどかな田舎の景色の中をてくてく歩いて、山市場のバス停の少し先から左の川にかかる青い吊橋を渡りました。この川が中川川や玄倉川の水を集めた丹沢湖から流れ出る河内川で、ごく短い距離で酒匂川に流れ込んでいます。

橋を渡って右に折れ、お茶畑の中をほんの少し歩くと小さい川にぶつかりますが、これがボウズクリの沢。川の手前(右岸)を上流に向かって歩くと整備されているのかされていないのかよくわからない棚沢キャンプ場があり、「名所 ボウズクリの滝 43m」の標識を見ながら山の斜面に入って、堰堤に乗ったところで前方にボウズクリの滝を見上げることになりました。これは立派。43メートルというのは下駄をはかせ過ぎのように思いますが、水量・斜度とも申し分ない美瀑です。

ところで「ボウズクリ」の滝というのは「坊作り」の滝で、かつては滝の下に修行用のお堂があったそうですが、もし「坊作り」が本当にその名の由来なら、「ボウズクリ」ではなく「ボウヅクリ」ではないのか?と文系の私は思ったりもします。

それはさておき、堰堤の上で沢装備を身につけて、いよいよ今年最初の入渓。前衛の5メートルの滝は左右どちらからでも登れ、そして本体の20メートルは水の下に入ることができるほどに近寄れましたが、この季節に滝行をするのは厳しそう。ましてや、この滝を登るのはとても無理ですので、左から巻き上がることにしました。

沢靴で脆い岩場やずるずると滑る土の急斜面を、細い木の根や枝を頼りにだましだまし登るこの感覚!冬の間ずっとがっちりした登山靴とアイゼンで歩いてきた身には、フェルトソールのあいまいなフリクションがなんとも怖く、妙に緊張します。

それでもどうにかボウズクリの滝の落ち口の上に出ると、前方には連瀑が見えました。出だしの5メートルは右寄りから簡単に超えましたが、次の8メートルは直登は難しく、左(右岸)からこれまた脆い斜面を登って巻きました。

すぐに出てくる連瀑も、一段目の3メートルは簡単、続く5メートルは水流の右寄りに存外しっかりしたホールドが得られて、テクニカルではあるものの楽しく越えられます。

ついで直ちに出てくる5メートル滝は、左から登りワンポイント倒木の頭を踏んで抜けることができました。このあたりが、ボウズクリの沢の中で最も楽しいところでしょう。

少し先に出てきた8メートル滝は直登困難で、左からでも巻き上がれそうでしたが、右に新し目のトラロープが張られていたのでそちらから登ってみると、斜面をトラバースする踏み跡が滝のすぐ上の堰堤の先に続いていました。

堰堤の上には左岸から2:1で支流が入って少し開け、ぽかぽかと日当たりの良い河原になっているので、ここで小休止とすることにしました。ここまでがこの沢の前半、と考えればよいのでしょう。手頃な石に腰掛けてのんびり行動食をとりながら見回してみると、左岸の上の方にもトラロープが見えています。この森の中には、縦横に仕事道が通っているのでしょう。

■10:30-55 堰堤の上 ■12:40-45 最後の二俣

行動再開。

岩ゴロゴロ地帯を抜けていくと、倒木がかかった小滝が二つ。これらは問題なく越えることができます。しかし、その後に出てくる6メートル+8メートルの滝は直登困難で、左の脆い斜面から巻くことにしました。

脆く滑りやすい斜面を枯れた蔓草にすがりながら登るのはあまり気分の良いものではなく、その後に滝の落ち口に向かってゆく際どいトラバースもスリリングでした。実はこの滝のところで上流側の沢筋は川幅一本分左に寄ることになるので、無理に落ち口を目指さず左(右岸)を樹林の中の安定した高さまで登ってもよかったようです。

5メートルの逆くの字滝は、条件が良ければ難しくなく登ることができたでしょうが、この日はぬめぬめで悪く、かっきーは途中から右に逃げ、私も最初から右壁沿いを登って越えました。

易しい小滝を越えると左岸から4:1で支流が合わさり、さらにその先に4メートルのこれまた易しい小滝。

そして、8メートル+3メートルの二段滝が現れました。ここは滝自体は立っていて取り付く島がないものの、落ち口に近いところまで左寄りからバンド伝いに近づくことができるため、トライしてみることにしました。まずは私のリードで、出だしの頼りない木の根元にランナーをとり、バンドを一段上がって滝身に近づいてみたものの、微妙に手がかり足がかりが乏しく、あえなく敗退。交代したかっきーもカムを駆使してホールドを得ようとしましたが、岩の脆さに踏ん切りがつかない様子なのを見て、私から「ここは巻こう」と申し出ました。ここは技術的に難しいというより「このホールドが壊れなければ」「この草が抜けなければ」という神頼みの一歩となる上に、ランナーがまるで信用できず、リスクと成果のバランスがとれていないという感じです。

落ち口に通じるバンドのさらに上を通っているバンドを使って右岸からこの滝を越え、懸垂下降で沢筋へ。エイト環での懸垂下降なんて相当に久しぶりです。

そして、落ち口に大岩をのっけた7メートル滝を左の比較的しっかりしたカンテから巻けば、滝場は終わりとなりました。

最初の二俣は明らかに本流の右へ。続く水涸れの二俣は右に行けば沢のどんづまり、左に行けば支尾根に抜けられそうですが、そこまで抜けなくても左の緩やかな尾根に仕事道が通じていそうなので、ここで遡行を終了することにしました。

■13:50 吊橋 ■14:10 道の家山北

かっきーの見立て通り、植林の中の斜面には薄い踏み跡が上へ続いていましたが、はっきりした道というわけでもなく、とにかく尾根筋の上に立とうと途中からひたすら上を目指して腿を上げ続けました。

やがて傾斜は急に緩くなり、ミツマタの白い花の間を通り抜けると、地形図で想像された通りの緩やかな尾根の上に出ることができました。

あとは広葉樹と針葉樹の境目を南東方向に下るだけ。地形を見ながら途中で南に向きを変えれば番ヶ平から下る登山道に出て、あっという間に登山口に降り立ちます。これも遡行対象となっているという火打沢が河内川に合流するところで沢靴の泥を洗い流し、行きに渡った吊橋の上から振り返ったとき、かっきーが「あっ!」と大声。行きには気づかなかったのですが、そこから既にボウズクリの滝が見えていたのでした。

ボウズクリの沢は、「棚沢」という別名を持つだけあって、コンパクトな中に多くの滝をかけていて面白い沢でした。直登できず巻く滝が多いのは減点ポイントではありますが、今回の我々のように、沢シーズン最初の足慣らしにはうってつけだと思います。