塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

芦安上荒井沢カモシカルンゼ

日程:2015/02/14

概要:先月に足を運んだもののビギナーズの「ステップアップ」だけに終わった芦安上荒井沢の氷瀑へ。今回はカモシカルンゼを途中まで登って同ルート下降。

山頂:---

同行:かっきー

山行寸描

▲カモシカルンゼ1ピッチ目は私のリード。氷の表面に薄く層ができている感じで、アックスを決めるために繰り返し打込みが必要だった。(2015/02/14撮影)
▲カモシカルンゼ2ピッチ目はかっきーの安定したリードで落ち口まで。その先もしばらく氷瀑が続き、もう1ピッチ伸ばすことができた。(2015/02/14撮影)

先月下旬にカモシカルンゼ目当てで芦安上荒井沢の氷瀑に足を運んだものの、不完全燃焼に終わってしまったかっきーと私。敗因は出足の遅さだ!と喝破した我々は、今回は金曜日の24時に高尾駅前で待ち合わせ、現地近くの道の駅で車中泊の後、目的の滝に一番乗りする作戦に切り替えました。予定通り2時すぎに「道の駅 しらね」に到着し、近くのコンビニで夜食のおでんを仕入れて車中で温まってから寝ようとしたのですが、寝酒を始めたかっきーの勢いが止まらなくなってしまいます。半ば呆れつつ「お先に」とシュラフに潜り込んだ私でしたが、かっきーは結局3合ほども飲んだ模様。そのことが後に悲劇をもたらすことになるとは、このときのかっきーは夢にも思っていなかったでしょう。

2015/02/14

△07:45 桃の木温泉の奥 → △08:25-11:55 カモシカルンゼ → △12:20 桃の木温泉の奥

6時半に目覚ましの音で起床。ゆったりコンビニで朝食をとってから、芦安温泉の奥へと車を進めました。

しかし駐車スペースには既に車が2台あり、その内の1台の主は既に出発した後のようです。さらに、我々が身支度をしている間にも1台がやってきました。皆さん、早過ぎます……。

3週間前に歩いたばかりの林道を渡渉混じりで進むと、すぐにトリコルネを対岸に見る場所に着きました。一番早く行動を開始していたパーティーが既にその取付で登攀の準備を終え、今にも登り始めようという態勢でしたが、幸いそこから先の林道には新しい踏み跡はなく、カモシカルンゼへは我々が一番乗りということになりました。

1ピッチ目:私のリード。このF1は50mロープでは抜けきれないため、途中でピッチを切ることになります。出だしは右の岩沿いを登り、途中から滝の真ん中の60度程の緩やかな凹角を辿って、30mほどの位置からのIV級セクション(70〜75度)は右上(左岸)へ。緩やかなパートはスクリューを節約できそうではありましたが、手持ちのスクリューの残り本数と先行きとを確認しながら、可能な限りランナウトしないようにランナーをとっていきました。そしてIV級セクションの出だしには長めのスクリューを入れてからこの核心部にかかりましたが、それまで緩やかなパートでは氷の表面に層ができていてアックスを決めるために何度も打ち込まなければならなかったのに対して、こちらは氷がしっかりしている上に先人の作った窪みが残っていて、打込みではなく引っ掛けで無理なく身体を引き上げることができました。

傾斜が落ちたところに残置スリングが複数残されており、そこまででロープ長は45m。ここでピッチを切り後続のかっきーを迎えました。

2ピッチ目:かっきーのリード、F1の残りを落ち口まで。ここも傾斜はそれほどきつくはないのですが、高度があって緊張感が心地よいピッチです。落ち口の左岸側灌木にしっかりした支点(残置カラビナ付き)があり、そこまでかっきーはなんの淀みもなく登って行きました。

ここで奥を見ると間近にIV-の8mF2、そして奥に立派な滝(おそらく20mF4)が見えました。事前の情報では奥の氷結が悪いということだったので、登り始めの時点での申合せはこのF1を登ったところで懸垂下降で取付に戻り、オーダーを交代してもう一度登ろうというものだったのですが、これを見ればやはり奥まで進みたくなってきます。順番は私のリードで、F2は階段状の凹角を特に不安なく登り、さらに下からは見えていなかった小さいF3(III級)を越えてF4の下でピッチを切りました。

頭上の両岸が狭まったところへ滝がせり上がっていくF4は高さがあって見栄えもありますが、上の数mがツララの集合体になっていていかにも脆そう。左側は水も滴っていて、あまりお近づきになりたくない感じです。左手をドライツーリング混じりか?しかし、そこまで行けばきっとハングしているんだろうな。うーん、これはどうしたものか。

順番からするとここはかっきーの出番ですが、後続してきたかっきーは先ほどから何やらモジモジしています。実は昨夜の飲酒の影響が出ていて、お腹が緩くなってしまっている模様。ここまで登ってくる途中でも力んだ拍子に「あっ!モレた」などと悲鳴を上げていたのですが、さんざんためらった末に、ここまで後続が登ってくる気配がないことを確認するとやおら端の方の雪を掘り始め……(以下略)。

……どうにかすっきり復調なったかっきーでしたが、相変わらずツララの集合体は険悪な雰囲気を醸し出しており、一応途中まで偵察に行ったものの、かっきーもこれはやめておこうと決断しました。そうなれば後は下るだけですが、F4の足元にはありがたいことにアバラコフが作られてあり、ここからF1の落ち口までが1ピッチ。そしてF1全体も1ピッチで下りきることができました。

F4を登れなかったのは少々残念ですが、ヒロケンさんの『チャレンジ!アイスクライミング』でもこの滝は氷結状態が悪く、グレードは一定しないとされているので、無理をしないのが正解なのでしょう。ともあれ前回の不完全燃焼を解消できて自分としては満足の楽しい半日となりました。

後は例によって甲府の「美味小家」へ直行です。もともとヒレ好きの私だけでなくロース派のかっきーも厚切りヒレかつ定食にしたのは脂がお腹に与える影響を考慮したもののようでしたが、これまた素晴らしい味わいでした。なお、F4登攀を断念した背景に「美味小家」のランチタイム(14時まで)に間に合いたいという計算が働いていなかったと言えば、嘘になるかもしれません。