北岳〜間ノ岳〜塩見岳

日程:1995/08/10-12

概要:広河原から北岳と間ノ岳を越え、塩見岳に達して三伏峠から下山。途中、北岳山荘と塩見小屋に宿泊。

山頂:北岳 3193m / 間ノ岳 3190m / 塩見岳 3052m

同行:---

山行寸描

▲振り返り見る北岳。定番のアングルだが誰が撮っても颯爽として見える。(1995/08/11撮影)
▲中白根からの間ノ岳。大き過ぎてフレームに収まらない。(1995/08/11撮影)
▲間ノ岳からの塩見岳。その奥には荒川三山をはじめとする南アルプス南部の山々も見える。(1995/08/11撮影)
▲斜光に輝く塩見岳に別れを告げて三伏峠から下る。(1995/08/12撮影)

1995/08/10

△04:40 広河原 → △06:40-50 二俣 → △08:55-09:00 八本歯のコル → △09:30-35 トラバース分岐 → △10:20 北岳山荘

夜行列車で着いた甲府駅からタクシー相乗りで広河原に入り、しばらく仮眠をとってから明け方出発。登山口の広河原から見上げる北岳の眺めは絶品ですが、今回は稜線部が雲におおわれており、天候の先行きに不安を感じました。

大樺沢沿いの道を2時間登って辿り着いた二俣から雪渓が現れました。ここで休憩をとりましたが相変わらず稜線はガスの中、しかし振り返れば鳳凰三山の観音岳が見えています。そのまま高度を上げ、木の梯子を登って風の強い八本歯のコルに到着したもののとにかく寒く、たまらず防寒具を取り出しました。ここから北岳山頂を目指して登り続けるか、左の北岳山荘へとトラバースするかをガスと風の中で迷っていたところ、山頂方向から下りてきた登山者が「稜線はとても立っていられない」と教えてくれたので今日はこのまま山小屋を目指すことにしました。

トラバース道はさまざまな高山植物が咲いており、天気がよければ気持ちの良い道でしょうが、今日は花を愛でるゆとりは全然ありません。やがて到着した北岳山荘の受付で宿泊手続を済ませた後は、昼前から夕方までひたすら寝て過ごしました。北岳山荘は超混雑で有名ですが、今日はそんなこともなく1人布団1枚でゆったり過ごせました。

1995/08/11

△04:55 北岳山荘 → △05:45-55 北岳 → △06:50-55 北岳山荘 → △07:30 中白根 → △08:20-25 間ノ岳 → △09:00-10 三峰岳 → △10:00-30 熊の平小屋 → △11:00 安倍荒倉岳 → △11:30 小岩峰(竜尾見晴) → △12:35-40 北荒川岳 → △14:10 北俣岳 → △14:40-50 塩見岳 → △15:45 塩見小屋

朝、空身で北岳をピストンしました。あいにく展望には恵まれなかったのですが、それでも8年ぶりの山頂には感慨しきりでした。

北岳山荘に戻り改めて出発する間際に、山荘もしくは診療所の関係者の年配の方がヘリコプターに乗り込んで下山するのを見掛けました。ヘリは強い風にも負けず巧みに稜線の1段高いところに降りて乗客を収容するとただちに飛び上がり回頭して姿を消し、その操縦士の素晴らしい技術にすっかり感服してしまいました。

うれしいことに間ノ岳あたりからガスが消え、背後に北岳、前方には農鳥岳が大きく聳えるようになりました。ここは8年前に山友カト氏がラーメンの鍋をひっくり返した場所で、それがどの辺りだったか思い出そうとしましたがもう記憶の彼方でした。

間ノ岳からは道を右(西)にとり、仙塩尾根を目指します。彼方には塩見岳の兜をかぶったような頭をもたげた姿が見えており、その向うには荒川三山もはっきりと見えていて、塩見岳が白峰三山を中心とする南アルプスの北部山群と荒川三山や赤石岳・聖岳からなる南部山群を結ぶ中間点に位置していることがこの眺めから見てとれました。

仙塩尾根と白峰三山との接点に位置する三峰岳は小さなピークで、ドイツ訛りの英語をしゃべる外国人2人と高校生らしい数人のパーティが休憩中でした。そこから1時間ほどで下り着いた熊の平小屋は落ちついた気持ちの良い小屋で、小屋のおやじが空を見上げて「これは雨が降るな」と営業トークを漏らすのでよっぽどここに泊まろうかと思いましたが、いくらなんでもまだ早過ぎるので先に進むこととしました。その代わりジュースとリンゴとチョコレートをここで購入しましたが、フィルムが売切れで補給できないのには困りました。

淡々とした樹林の中の稜線歩きから、北荒川岳の避難小屋近くの花畑を抜けて、ようやく塩見岳を見上げる地点に到着しました。しかし塩見岳の山頂は雲に覆われており、展望は期待できそうにありません。

厳しい急坂を登り切ってしばらく水平に歩くと、塩見岳の山頂(東峰)に着きました。やはり展望は得られませんでしたが、山頂の回りはガスが切れてよい気分。北俣岳で一緒になった単独行者に写真を撮ってもらい、下に見える塩見小屋を目指してがらがらの岩場を下りました。塩見小屋ではさっそくビールを買い求めましたが、気圧のせいか寒さのせいかおいしさが感じられませんでした。

夕方、塩見岳にかかっていたガスがとれて夕日に赤く山が染まりました。さらに今朝踏んできた北岳や間ノ岳の山並みもはっきりと見え、遠くには甲斐駒ヶ岳や仙丈ヶ岳のシルエットも見えています。この日の塩見小屋は満杯で、屋外に張られた小屋のテントに別の単独行者と2人で入りました。さらに暗くなりかけた17時20分に、予約していたという18人連れのパーティが小屋に到着しました。明日は農鳥小屋まで行くとの話を聞いて先住者たちは一様に「あの遅さで本当に辿り着けるのだろうか」と心配しましたが、当人たちは意気軒昂でした。

1995/08/12

△05:25 塩見小屋 → △06:40 本谷山 → △07:25-40 三伏山 → △07:50-08:00 三伏峠小屋 → △10:10 塩川小屋

きれいに晴れ上がった空の下、斜光を受ける塩見岳や荒川三山に別れを告げ、三伏峠へ下りました。

三伏峠からの長い下り坂を下りきって塩川小屋へ到着し、タクシーを呼んで到着までの時間を寛ぐうちに降りてきた学生3人組が相乗りしてくれることになりました。居眠り運転気味の怖いタクシーで伊那大島駅まで乗ったら、今度は駒ヶ根へ移動して中央アルプス縦走へと継続です。

◎「中央アルプス北部縦走」へ続く。