塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

聖岳〜赤石岳〜荒川三山

日程:1988/08/06-09

概要:大沢岳の西尾根から入山し、百間洞山の家をベースとして聖岳をピストン。さらに赤石岳、荒川三山を縦走して椹島へ下山。

山頂:聖岳 3013m / 赤石岳 3121m / 荒川中岳 3084m / 悪沢岳 3141m

同行:カト氏 / スー氏

山行寸描

▲百間平から眺めた聖岳。この下に何倍もの質量の根張りを隠している。(1988/08/08撮影)
▲赤石岳山頂からの悪沢岳(右端)。手前のコブは小赤石岳。(1988/08/08撮影)
▲悪沢岳山頂からの赤石岳。赤石岳の右奥には光岳(?)が遠く眺められる。(1988/08/09撮影)

1988/08/06

△06:30 大沢尾根登山口 → △08:0010 唐松峠 → △10:30 大沢岳の肩 → △10:50-11:30 大沢岳 → △12:45 百間洞山の家

赤石・聖登山会主催「赤石岳・聖岳稜線漫歩コース」なる山行企画に乗り、しらびそ峠で百間洞山の家の小屋番さんの出迎えを受けて車で大沢岳の西尾根の登山口まで入り、身繕いして歩き出しました。快晴の登山道を登るうちに森林限界を越えて岩の斜面にかかり、やがて稜線に出るといきなり荒川三山、赤石岳、聖岳が目の前に出現。この光景には3人とも興奮にとらわれ、同行のカト氏は辺りをどすどす歩き回りながら「あっかいしっ!」「ひっじっりっ!」と山の名前を連呼していました。

雷鳥の出迎えを受けながら大沢岳に登り、気持ちの良い山頂に寝転がって寛いで、背負ってきたカマンベールチーズとグレープフルーツを奮発しました。

この日の宿である傾きかけた山小屋=百間洞山の家の食事は、御飯、野菜の天ぷら、そば、キャベツwithドレッシング。素晴らしい。

1988/08/07

△04:35 百間洞山の家 → △05:30-45 中盛丸山 → △06:20 小兎岳 → △07:00-30 兎岳 → △09:05-10:40 聖岳 → △12:00 兎岳 → △12:35 小兎岳 → △13:15-25 中盛丸山 → △14:00 百間洞山の家

今日はリュックサックを一つにして交代で担ぎながら歩きます。中盛丸山でカト氏持参の望遠鏡を小道具に神戸の女子大生4人組と仲良くなり、聖岳まで前後して歩きました。途中にある兎岳の三角点は縦走路から離れた所にあり、地図上の標高は2799mですが、山頂より低い位置にあるので、兎岳は実際には2800m峰です。

待望の聖岳の山頂に着く頃には周囲はガスで真っ白。片道10分余の奥聖岳(2978m)を往復してから往路を戻ることにします。帰りの中盛丸山の登りは岩がちのダイレクトルートを採りました。怪しげな空模様を睨みながらさっさと歩いて小屋に飛び込むと同時にスコールが来襲、あやうくびしょ濡れを免れました。

ところでこの日の朝、小屋の中では一悶着あり。朝食を頼む代わりに弁当を注文していた客が少なからずいたのですが、何かの手違いがあったらしく弁当の出来上がりが朝食配膳後になってしまい、早出したいために弁当を注文していた客たちから苦情が出ていたのでした。真相は不明ですが、午後早くに戻ってきた我々に小屋番さんがボヤくところによれば、ヘルプで入っているアルバイト君が何かにつけて手際が悪い模様。確かに弁当は前夜のうちに出しておいてもらいたいところですが、普通に朝食をとっても4時半に出発できるというのはそれだけで破格です。それはこの山小屋が山の奥深いところに位置していることを考慮してのことだろうと感謝し、アルバイト君にも同情したのですが、楽しみにしていた夕食の献立は昨夜と全く同じでがっくりしました。

1988/08/08

△04:25 百間洞山の家 → △05:30-55 百間平 → △07:25-08:10 赤石岳 → △08:25 小赤石岳 → △09:40-10:50 荒川小屋 → △12:20-30 荒川中岳 → △12:35 中岳避難小屋

2晩お世話になった百間洞山の家を早朝に出発。百間平のだだっ広い平坦地から、この山行初めての巨大な富士山を見ました。

赤石岳の山頂では、雲海上の抜群の展望を堪能できました。聖岳や荒川三山が近くてビッグ。意外に人が多く、また3000m以上の山頂にも花が咲いていることに驚きました。

荒川小屋から徒歩20分の水場でウォーターキャリーに7リットルもの水を汲み、カト氏・スー氏・私の3人で5分交代で中岳避難小屋まで持ち上げました。中岳避難小屋には管理人がおり、ビールも置いてあります。夕食はじゃがいも、にんじん、玉ねぎをむき分厚いベーコンを炒めてクリームシチューと炒めたハムにパインを乗せてハムステーキハワイアン。贅沢な夕食の後は戸外で270度の虹とブロッケンもどきを見ました。

1988/08/09

△04:20 中岳避難小屋 → △04:25-05:15 荒川中岳 → △05:25-30 荒川前岳 → △05:40-07:05 中岳避難小屋 → △07:50-08:30 悪沢岳 → △08:50 丸山 → △09:15-30 千枚岳 → △09:45-55 千枚小屋 → △11:15-50 清水平 → △13:30 椹島ロッジ

早起きをして、荒川中岳の山頂で日の出の光景を眺めました。シルエットになった悪沢岳頂上から登る朝日、そして今日の快晴を約束するような晴れ渡った空に大喜び。

小屋に戻ってゆっくり朝食をとり、昨日の水で歯を磨き、顔も洗ってしまいました。コルへの下りと登り返しでちょっと緊張してから到着した悪沢岳の山頂でも、同じ南アルプスの山々はもとより日本中の山が見渡せる感じの凄い展望に出会いました。

この大展望の中、どこかのワンゲル部らしき若者たちが富士山に向かってコールしていました。

千枚岳から赤石岳方面の開けた眺めを最後の展望として、歩いてきた山全てに別れを告げて道を下ります。お花畑を愛でながら千枚小屋を通過し、沢沿いに建つ椹島ロッジに投宿してビールで乾杯し、久しぶりに風呂につかりました。翌日バスを乗り継いで静岡へ出て、最高に楽しかった山旅を終了しました。