古伊万里唐草―暮らしのうつわ―展

2016/09/17

この三連休は北アルプスへ行くつもりでしたが、遠く南海上の台風から刺激された秋雨前線が活発化したために、山行は中止。仕方ない、手近なところで美術館にでも行くかと松濤美術館と戸栗美術館のプログラムを見比べて、戸栗美術館を選びました。題して「古伊万里唐草―暮らしのうつわ―展」は、惹句によれば次のような展示会です。

17世紀初頭から19世紀前半にかけて製造された唐草文様の伊万里焼を約70点展示。江戸時代より人々の暮らしの中で愛されてきた古伊万里唐草の魅力に迫ります。

唐草文様がナツメヤシやハスなどの植物文様を原形として中東で発祥したことは解説に含まれていましたが、そうした遠い時空の話は軽くスルーされて、産地から国内各地や海外への搬送ルート(東南アジアを経由してヨーロッパへ)が地図で示されたあとは、実に様々な伊万里焼(古九谷様式と柿右衛門様式を含む)といくつかの鍋島焼(藩直営窯による高級品)が展示されていました。

唐草文様は皿縁に装飾として使われているものもあれば主文様として器全体を覆うものもあり、その様式も時代と共に変化を見せていますが、そうした面白みもさることながら、たとえば最初に展示されていた《染付 花唐草文 藤花形皿》(17世紀後半)の造形には柔軟なアイデアと高い美的センス、そして確実な技術が見てとれましたし、《染付 みじん唐草松竹梅文 皿》(19世紀後半)では蔓が省略された超細密なみじん唐草に囲まれた中央部の環状松竹梅文に見られる大胆なデフォルメに目を見張らされました。

あいにく入館した時刻が閉館時刻の1時間前だったために駆け足での鑑賞になってしまいましたが、ここはせめて1時間半はかけて匠の技をじっくり眺めたかったところです。

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鑑賞を終えての帰路、鍋島松濤公園に立ち寄ってみると、ミニ神輿が鎮座していました。これはちびっこたちが担ぐものですが、もちろん本物も界隈を練り歩いており、夜にはどこからともなく集まってきた若者たちが掛け声も勇ましく神輿を担いでいました。

しかし、見れば若者たちの大半は髪を金色に染めています。担がれている神様も、これには複雑な心境だったのではないでしょうか……。