Simon Phillips

2014/05/30

ブルーノート東京で、Simon Phillipsのライブ。最近ではPSPToto上原ひろみのライブでその姿を見ていますが、彼のソロツアーにも1997年2009年の二度足を運んでいます。今回は、自身のリーダー作『Protocol II』を携えての久々のソロツアーで、メンバーは『Protocol II』のレコーディングメンバーと同じです。

機材の配置は、ステージ下手に巨大なドラムセット、向かい合わせの上手にはキーボード。その間の下手寄りに赤い5弦ベースが置かれ、上手寄りにはギターの立ち位置となります。

ドラムセットはタムの配置がこれまでと変わっていて、これまではフロアタム3つが置かれていた右手側に小口径のスネアとフロアタム1つが置かれ、なくなったフロアタム2つの代わりに大口径のタムがフロアタムの上に2つが配置されて、バスドラム×2の上のタム4つと右後ろのゴングバスの間をシームレスにつなぐ形になっていました。つまり、左手にオクタバン4発、タム6つ、フロアタム1つ、ゴングバス、スネア3つ。そしてシンバルは左手側にチャイナとライド、ハイハット。そして正面から右手側へクラッシュ4枚。一方、キーボードのメインはFender Rhodesですが、その上にはCASIOシンセサイザーXW-P1、左手側にもCASIOのデジタルピアノPriviaとCASIO製品が活用されているのが目を引きました。

Octopia
シンセサイザーの印象的なシーケンスリフからポリリズムでのシンバルが重なってオクタバンのリズムに移り、徐々に低音側のタムに移動。ブレイクの後、低音のシンセリフにタムのメロディアスなソロが乗って、ついにシンバル炸裂からめくるめくようなドラムソロを経てメインリフに戻る短い曲。のっけからパワー全開、Simonの挨拶代わりの一曲。
Enigma
「Octopia」から間を置かずに、ギターのファンキーなカッティングから始まるグルーヴィーなギター主体の3拍子系の曲。とはいいつつ、音量のバランスはギターが控えめでとにかくドラムがでかい!それは、我々の席がSimonの真ん前だったせいかもしれません。曲はやがてギターとエレピが交互にソロをとりあい、そこへドラムとベースが自由に絡むスリリングな展開から、ベース、ギター、キーボードが同じフレーズを延々と演奏する上でドラムソロが展開するおなじみのパターンに。そしてカッティングからAndy渾身のギターソロにつないでかっこよく終了。冒頭のこの2曲はニューアルバムから。
Kumi Na Moja
ステージの前の方に出てきたSimonが「ミナサンコンバンワ」とMC。メンバーを紹介し、ニューアルバムが日本で水曜日に発売されたばかりであることを紹介しつつ、次は『Another Lifetime』から彼のライブの定番と言える「Kumi Na Moja」。シンセサイザーとギターの牧歌的なイントロをつけて、やがてあのシンセリフから11拍子パターンへ。中間の穏やかなギターソロの背後でベースとドラムとが繊細なグルーヴを作り上げていたのが印象的でしたが、ギターソロの後にはテーマリフの上で容赦のない高速タムとツーバス連打が待っていました。
First Orbit
一転してスローなニューアルバムからの曲。スペイシーなシンセサイザーと繊細なハイハット&スネアワークをバックに、叙情的なギターソロ、ついでエレピソロ、そしてクリーントーンでのギターソロが続きます。
Wildfire
ニューアルバムのオープニングナンバーをここで。出だしからハイハット、スネア、バスドラムがかなり細かいパターンで緻密なグルーヴを作り、ギターとエレピによるメインテーマへ。曲調がいったん落ち着いてエレピのソロとなり、ブレイクから細かくスピーディーなリズムになってメインテーマへ回帰。再びテーマの繰り返しの上でドラムが自由にソロを展開するパターンとなってヒートアップすると、最後は全楽器ユニゾンですぱっと終了。
Stern Crazy
ここでのMCはさすがに息が切れていましたが、Mike Sternのために書いたという紹介の後、すぐにドラムセットに戻って演奏が始まりました。スネアとバスドラムのユーモラスなパターンから跳ねるようなリズムに乗って多彩な音色と技巧を用いたギターソロ主体の曲。シンセソロをはさんで、ギターとエレピのスリリングな掛け合いが聞き応えあり。
Upside In Downside Up
これもニューアルバムから。シンセサイザーとドラムとが作る4拍子と6拍子が複雑に絡まり合ったリフから始まる難しい曲ですが、にもかかわらずミュージシャン達は実に楽しそう。エレピがストラヴィンスキーの「春の祭典」のファゴットソロのフレーズを聞かせてからソロを演奏する内にリズムが徐々に鎮静……キーボードのSteve WeingartとSimonがステージの両端から顔を見合わせながら間を測り、これを横目で見ながらベーシストのErnest Tibbsが「まだか?」という顔で息を詰めているところへスネア一発でリズムを取り戻し、さらに延々と激しいエレピソロが展開して、ようやく出番となったAndy Timmonsのギターソロへつなぎました。そして冒頭のシンセパターン上でのドラムソロとなって、その音圧が聴衆を圧倒する内に最後のリフからユニゾンでのキメで鮮やかに終了。

© Blue Note Tokyo

Space Boogie
アンコールのMCはSimonの初来日のときの話題で、それは1978年(「before I was born.」とジョークを飛ばして大ウケ)のJeff Beck with Stanley Clarkeのツアー。そこで主役二人を共にサポートしたTony Hymasとの曲作りの模様なども語られ、そのときに生まれた曲を携えて1980年に再び来日したのが「There And Back」ツアーで、そのツアーに来た人は?との問いかけに手を挙げたのは私ともう一人の計二人でした。そして、それならこの曲はそのときに聴いたはずだ、という前置きと共にこの日最後に演奏されたのは、やはりと言うかまさかと言うかの「Space Boogie」。まさに圧巻の超高速ハードシャッフル(しかも7拍子)に、文字通りノックアウトされました。

SimonがTotoを脱退したのは今年のこと。あのJeff Porcaroの穴を埋めるという困難な仕事を長期間にわたって続けてきたSimonの離脱にはTotoファンから嘆きの声も上がりましたが、今日のこの演奏や上原ひろみとのThe Trio Projectを聴けば、彼が今どんな音楽を作りたいと思っているのかははっきりしています。11月にはそのThe Trio Projectでの来日も計画されているSimon、おそらくそのときはホールクラスの会場になってしまうと思いますが、彼の力量ならこの日のクラブならではの親密な空間を数千人の聴衆を前にしても再現してくれるものと期待しています。

ミュージシャン

Simon Phillips Drums
Andy Timmons Guitar
Steve Weingart Keyboards
Ernest Tibbs Bass

セットリスト

  1. Octopia
  2. Enigma
  3. Kumi Na Moja
  4. First Orbit
  5. Wildfire
  6. Stern Crazy
  7. Upside In Downside Up
    -
  8. Space Boogie