渡辺香津美 - Jeff Berlin - Virgil Donati

2013/11/18

ブルーノート東京で、渡辺香津美 - Jeff Berlin - Virgil Donatiのライブ。渡辺香津美とJeff Berlinの組合せは、ドラマーにBill Brufordを迎えたトリオでの『スパイス・オブ・ライフ』のライブ映像(1987年)をLDで何度も観ていましたが、今回は、Planet Xでの活躍やDream Theaterのドラマーオーディションへのチャレンジ等で名の売れているテクニシャンVirgil Donatiを入れての演奏です。この3人での新譜『Spinning Globe』は12月4日に発売される予定で、このライブはそのお披露目という意味もあります。

ブルーノートに一人で行くのも無粋なので、極道ガールズのエリコがちょうど11月に誕生日を迎えたばかりであることに目をつけ、付き合ってもらいました。開演15分前の18時45分に会場に入り、アリーナ席に座ってビールで乾杯。手っ取り早くできるというイカのフリットとオリーブのマリネが席に届いた頃に拍手が湧き、3人の練達のプレイヤーたちが登場しました。我々の席はステージに向かって右寄りでJeff Berlinのほぼ正面。エリコのファースト・インプレッションはあのベースの人、でかい!でした。

Spinning Globe
ステージに立った二人の弦楽器奏者がしばらくチューニングを重ね、やがてドラムのカウントと共におもむろに始まった曲は、予想外の爆音ながらも落ち着いた雰囲気の中に7拍子のパートを持つ新譜のタイトルナンバー。ステージで演るのは初めてだと演奏後のMCで紹介されていましたが、渡辺香津美らしい変幻自在の音色とフィンガーボードを上から下まで目一杯使ったフレージングは健在で、JeffとVirgilも負けじと音数の多いソロを繰り出してきました。
Shang Hai
ベースのうねるようなリフとハイハットのオープン・クローズのパターンで始まる妖しげな雰囲気の曲。何せ魔都・上海ですから。そして、Jeffの長大なベースソロにはVirgilが左手側のソプラノスネアで応酬。
Havana
エコーの効いたクリーントーンで優しく奏でられるラテン系音階のギター、ベースのメロディアスなフレーズ、リムショットとハイハットで穏やかにリズムを刻むドラム。亜熱帯の気だるい空気感をそのまま音にしたような親しみやすい曲。後半では、ギター・ベースのリズムキープの上にポリリズムっぽい繊細なドラムソロ。

ここでJeff BerlinのMCが入りました。曰く、我々は毎晩、違う演奏をする。だから全ての演奏が、オリジナル。なぜなら、ある晩はパーフェクトだし、次の晩はミスをするし、Virgilはミスをするし、自分はミスをしないし……。このMCを引き取った渡辺香津美も「同じことは(しようと思っても)できない」と苦笑いしていました。

Reflection Of Paris
レコーディングの合間にはピアノでラベルやドビュッシーを弾くという意外な一面を持つVirgilの作曲。これもクリーントーンのギターによって何とも変わったコードやシングルトーンのメロディが続く、ヨーロッパ的な雰囲気のある曲。途中からベースがリズミカルなリフに変わり、タイトになったリズムの上で悲鳴を上げるようなギターソロが続きます。続いてメロディアスなベースソロのパートに移りましたが、このソロは即興ではなくてあらかじめ作曲されているものらしく、Jeffは楽譜を見ながら弾いていました。
The User
これもVirgilが作曲した曲。1拍と3拍にどかどかとスネアが叩かれる勢いのあるリズムから始まり、うねうねベースの上に緊迫感に満ちたギターのフレーズが展開する「変態チック」「グロテスク」(渡辺香津美談)な作品。途中からのギターソロはオクターバーで音を重ねて思い切りギターを泣かせ、Adrian Belewを連想させました。
Kokoro
渡辺香津美作曲、新譜からの曲。美しいアルペジオから静かにベースとシンバルが滑り込み、デリケートなギターの細かいフレーズへ。後半はリズム隊が力強さを増し、流麗なギターソロが展開します。やがてギターも徐々にヒートアップ。最後に強靭なリズムのままギターのメインテーマから冒頭の細かいギターフレーズが繰り返されて終曲へ。高音を活かしたベースのフレージングが美麗でした。

再びJeff BerlinのMC。ここで英会話のレッスンをしよう。とても重要な言葉だ。BUY JEFF BERLIN'S CD.アメリカでとてもハッピーになれる言葉だ。BUY JEFF BERLIN'S CD.……これには会場大爆笑。

Unicorn 2013
ギターがひとしきり爪弾かれてから、カウントが入ってあの特徴的なフレーズへ。かつてCMで使われたこともある有名な曲です。中間部では、渡辺香津美はステージ上を左から右へと歩き回ってノリノリの弾きまくり系ギターソロで聴衆を煽り、客席からも歓声が盛んに湧き起こりました。その後、数小節のギターとベースのユニゾンの後に、カッティングギターの上でこれも弾きまくりベースソロが2分半にわたって展開。一瞬のブレイクをはさんでメインリフに戻り、鮮やかなキメのフレーズで締めくくりました。

© Blue Note Tokyo

Crossroads
「Buy CD!! Buy CD!!」コールに応じてアンコールで演奏されたのは、Jeffのヴォーカルでまさかのこの曲、Creamの「Crossroads」でした。なんでもジャカルタで開かれたブルースフェスティバルに招待されて、何で自分たちがブルース?と思いつつせめて1曲くらいはブルースを弾こうと選んだのがこれだったそうですが、Jeffのヴォーカルはお世辞にもうまいとは言えないものの、全員が思い切り演奏を楽しんでいる様子が伝わってきました。

渡辺香津美はもう1曲弾きたそうな雰囲気だったのですが、Jeffがさっさとベースを置いてしまったので、以上でこの日のファーストセットを終了。後でブルーノートのサイトを見たら、セカンドセットでは最後に「J.F.K.」が演奏されたそうで、大好きな曲だっただけに惜しいことをしました。

←1987年の「J.F.K.」の演奏

ともあれ、多彩な楽曲を高度なテクニックで存分に聴かせてくれた凝縮された演奏に私もエリコも大満足でブルーノートを後にし、そのままなぜか表参道の焼き鳥屋へ繰り出したのでした。

ミュージシャン

渡辺香津美 Guitar
Jeff Berlin Bass / Vocals
Virgil Donati Drums

セットリスト

  1. Spinning Globe
  2. Shang Hai
  3. Havana
  4. Reflection Of Paris
  5. The User
  6. Kokoro
  7. Unicorn 2013
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  8. Crossroads