Zoso

横浜ではSOGO、川崎ではZOSO。

……とシャレたわけではありませんが、この日の夜はLed Zeppelinのトリビュート・バンドであるZosoのライブをクラブチッタへ観に行きました。これはほとんど衝動買いで、数日前に案内メールが流れてきたのにつられてついリンクをクリックしてしまったのですが、YouTubeで見るところでは、なかなか本格的。レコードではそれなりに聴き込んでいるにもかかわらず、ZEPの曲をライブで聴いたのは（大学の学園祭で「スワンソング」という名の学生バンドを聴いたのを除けば）女性ばかりのカバーバンドであるLez Zeppelinの演奏くらいなので、18年間のキャリアを誇るというこのバンドに少々期待。

で、結論から言うと、その期待は裏切られませんでした。

今回のライブでは、映画『The Song Remains the Same』でおなじみ1973年のマディソン・スクエア・ガーデンのライブを再現するという触込みで、『I』『II』『III』『』『Houses of the Holy』に収録された楽曲を再現してくれたのですが、Jimmy Pageはもちろん黒地にドラゴンのあの衣裳、John Paul JonesもRobert PlantもJohn Bonhamもそれぞれに映画の中の衣裳そのまま（Jonesyは腕に玉がついたアレ）。風貌も、ベースがすっきりハンサム過ぎる点を除けば本家を彷彿とさせるものがあります。楽器はといえば、ギターはSGダブルネックとチェリーサンバーストのLes Paul、ギターアンプはZosoロゴ付きMarshall。テルミンもちゃんとセットされています。ドラムはもちろんラディックのアクリルシェル（ティンパニは惜しくも1台だけ）。さすがにキーボードはメロトロンやローズ・ピアノという訳にはいかず、YAMAHA Motif XS8と足元にRoland PK-5でした。

そして肝心の演奏は定石通り「Rock 'n' Roll」からスタートしましたが、タイトなリズムが素晴らしい音圧で会場を埋め尽くし、いかにもロックのライブ！という感じです。曲ごとに、その曲が収録されたアルバムのジャケットが背後のスクリーンに映し出される中、実際に演奏されるのはスタジオバージョンではなくライブバージョンのアレンジで、どの曲にも長いギターソロが織り込まれて格好よし。もちろん「Since I've Been Loving You」の泣きのギター、「No Quarter」の無駄に長いエレピソロ、「Moby Dick」のハンドドラミング、「The Ocean」でのドラマーによるカウントとコーラス、「Dazed and Confused」の妖しいボウイングとエコーを効かせたギミックなどもそのままに再現されました。本家によるマディソン・スクエア・ガーデンのライブで「Immigrant Song」が演奏されたかどうかは寡聞にして知らないのですが、少なくともこの日のクラブチッタでの演奏は申し分のない迫力がありましたし、「The Song Remains the Same」や「Stairway to Heaven」での12弦ギターは絶品でした。強いて文句をつければ、ベースの低音域の分離がいまひとつであったことと「The Rain Song」のバックに流れるストリングス音のエンベロープ（ADSR）がメロトロン風のスクエアなものではなくアタックの緩やかなものであった点に違和感を感じたこと、それにドラムが時折不要と思えるタメを効かせる点でしたが、それらを補って余りある白熱の演奏であったと思います。特にボーカルが、あのハイトーンのまま最初から最後まで強靭さを維持し続けたのは驚異的でした。やはりハードロックバンドの良し悪しは、ボーカルの出来が半分以上を占めるということを実感。そしてここまでプロの仕事をしてくれれば、トリビュート・バンドと言えども十分にリスペクトに値します。

アンコールはもちろん「Whole Lotta Love」。満を持していたテルミンが大活躍し、最後にはドラが連打され（もちろんパイロや炎は上がりませんでしたが）、今どき珍しい2時間30分に渡る「狂熱のライブ」は幕を閉じたのでした。