大観と栖鳳―東西の日本画―

2010/03/20

年甲斐もなく朝帰りの朦朧とした頭のまま、恵比寿の山種美術館へ「大観と栖鳳―東西の日本画―」展を観に行きました。この展示は、19世紀から20世紀にかけて活躍した横山大観と竹内栖鳳を軸として、東京と京都の画壇の動きを二部構成で見せるもの。会期終了間近なので、チラシは既になくなっていたのが残念。

第一部は「横山大観と東京画壇」と題して冒頭に気高い富士山を描く《心神》(1952年)を掲げた後に、後の《生々流転》につながることになる水墨画巻《楚水の巻》《燕山の巻》(1910年)、あるいはユーモラスな雰囲気を漂わせる《作右衛門の家》(1916年)などが並びます。

また、橋本雅邦、川合玉堂、菱田春草、安田靫彦、川端龍子、前田青頓といった錚々たる画家の作品が複数見られるのも眼福ですが、古典芸能ファンには小林古径の《清姫のうち寝所》《清姫のうち日高川》(1930年)が見逃せないでしょう。

かたや第二部「竹内栖鳳と京都画壇」ものっけから竹内栖鳳の《斑猫》(1924年)が圧倒的な描写力で、決して広くはない館内でもその一角だけ違った雰囲気が漂っています。この柔らかい毛並みの質感はどうやって描かれているのか?というのは誰しも思う疑問だったらしく、皆がみな絵に目を近づけてタッチを確認しようとしているのが見ていてなんだかおかしくうつります……と言いながら私も目を皿のようにして覗き込みましたが、繊細な筆の運びと精妙な色遣いの組み合わせには溜め息が出るばかり。

竹内栖鳳の作品では、他にも池面に浮かぶ蛙や花の下に潜む蛇やらが見事に写実的に描かれていて、横山大観のおおらかな作風とは異なる、いかにも京都らしい写生の伝統が息づいているのが見てとれます。他に京都画壇からは、土田麦遷の《大原女》(1915年)や小野竹喬、上村松園、福田平八郎など。

図録の販売がなかったので展示意図を詳細に知ることができませんでしたが、56点にのぼる名品優品の全てが山種美術館の所蔵品というのがなんとも贅沢。理屈抜きで日本画の楽しみに浸れる展示でした。