塾長の鑑賞記録

塾長の鑑賞記録

私=juqchoの芸術鑑賞の記録集。舞台も絵も和風好き、でもなぜか音楽はプログレ。

近江源氏先陣館 / 伊達娘恋緋鹿子

2009/12/05

大阪での怒濤の文楽からまだ間もないこの日、今度は東京の国立劇場小劇場(隼町)。師走の東京の文楽は重鎮を除く比較的ライトな布陣で気軽にお楽しみ下さいという月なのですが、かかるのは時代物の名作として歌舞伎でもよくかかる「近江源氏先陣館」と、有名な八百屋お七に題材をとった「伊達娘恋緋鹿子」という見どころ十分の演目です。

近江源氏先陣館

近江源氏の佐々木盛綱・高綱兄弟の攻防を描く時代物。近松半二、三好松洛ほかの合作で、明和六年(1769年)初演。佐々木兄弟は源頼朝の挙兵に加わっており、特に弟の高綱は宇治川の先陣争いで生唼に乗って梶原景季に先んじたことで有名です。二人が争ったことは史実としてはないのですが、ここでは頼朝の妾腹の長男・頼家が京方、北条時政が鎌倉方となって争い、兄は鎌倉方に、弟は京方についているという設定。これは大坂の陣を題材にしており、佐々木盛綱は徳川方の真田信之、高綱は豊臣方の真田幸村にあたります。

まずはイントロ的に「坂本城外の段」を置いて、佐々木兄弟のそれぞれの嫡子(つまり従兄弟同士)小三郎と小四郎が馬に乗って初陣を戦います。最初に城門を開いて出てきたのは黒毛の馬にまたがった小四郎、装束は緑系、これに対する小四郎は栗毛の馬に乗り、衣装は明るい朱系。いずれも華やかに盛装しての激突ですが、小四郎の母の篝火と小三郎の父の盛綱が遠目に見守り力む父親焦る母とは大学の入学式に同行する親そのもの。太刀では勝負がつかないと見て互いに馬を寄せ組み合い、下に落ちたところで小三郎が小四郎を捕らえ、白布で後ろ手に縛ってどうだ!という表情を見せます。ここまで、なんともスピーディーで迫力満点でした。

いったん幕が降りて、その向こうではセットを替えている様子ですが、なにやら異様に賑やかで、大道具さんが「せーの」と掛け声を掛けているのが聞こえてきます。最後に「オッケー!」(←英語を使っていいのか?)という声が掛かって客席に笑いが広がったところで、拍子木や鉦太鼓が入ってきました。

「和田兵衛上使の段」は、咲甫大夫。まずは盛綱の老母の微妙みみょうと妻の早瀬が腰元たちと共に故三郎の手柄を喜んでいますが、微妙の台詞がなんとも気持ち良い節回し。といっても言っていることは、敵味方に別れた以上小四郎を不憫とは思うまい、というシビアな内容です。そこへ拍手喝采を浴びて登場するのが勘十郎師が遣う盛綱。いかにも武将らしい貫禄がさすが、首は検非違使です。一緒に現れた小三郎は衣装を改めて晴れやかに、かたや縄に縛られた小四郎は哀れな様子で、同じ孫の対照的な境遇にやはり微妙は済まぬは胸の潮境、わけ兼ぬるこそ道理なれと俯き加減で顔をそむける微妙ビミョーな感情表現。遣うのは和生師。するとその場に朱や金の裃、黒髭も荒々しい和田兵衛が小四郎返還を求める使者としてやってきます。声色はあくまでも野太く、首は大団七。ここからは和田兵衛と盛綱の互いに一歩も譲らぬ堂々たる押し問答で、咲甫大夫の語り分けにほれぼれしてしまいます。小四郎の代わりには自分の髭首進上申すと和田兵衛が首筋を扇子でぺし!と叩くと、高綱は時政から預かった捕虜を自分の勝手で渡すわけにはいかぬ、欲しければ力づくで、と力んでみせますが、和田兵衛はア丶じたばたなされな、埃が立つわさ(この台詞、気に入りました!)と扇で制して少しも慌てません。この和田兵衛は、大坂の陣で奮戦した豪勇の後藤又兵衛にあてた役。和田兵衛はそれなら時政のところへ直談判しようと立ち、盛綱が槍を構えた家来に囲ませて随分御守を、合点かと問うとイヤ御酒とは忝いと家来たちを軽くあしらいながら悠々と去っていきます。

と、ここまでダイナミックなやりとりが展開していたのが、千歳大夫に変わって舞台上に盛綱ひとりが思案の様子で残ると、打って変わって緊迫した静寂が支配します。盛綱は母の微妙を呼び、これから言うことに必ずうんと言ってくれと念押ししてから、小四郎を自害させるよう頼みます。さすがに驚いた微妙ですが、高綱が小四郎惜しさに筋を曲げては不忠となる、それを防ぐためと盛綱が理を尽くして説くと、微妙は最初は穏やかな口調でこれを受け止めるものの、真実親身は子よりも可愛い孫なれども、思ひ切つて切腹させうというところでは込み上げてくる様子。千歳大夫は、特に憎々しい役をやらせると表情も含めて絶品なのですが、この場での微妙の心の振幅も武家の母という格を守りつつ見事に語っていました。

二人が奥と上手へ消えたところで、下手から矢文を打ち込んだのは小四郎の母の篝火。「はっ!」という掛け声とともに上手の紅葉の幹に矢が突き立つのですが、どういう仕掛けだろう?ともあれ、この文を見つけたのは小三郎の母の早瀬で、

名にし負はば逢坂山のさねかづら 人に知られで来る由もがな(後撰集・三条右大臣)

の歌に「人に見つからぬように逃げ出せ」との意を読み取り(これは納得)、

これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関(後撰集・蝉丸)

と書き認めて「時節を待て」(そういう意味になるのか?)と射返します。このやりとりを見ていた小四郎は母が近くにいると知って動揺するのですが、そこを微妙に見とがめられた上で白装束と短刀を渡され、こりや私に腹切れとの死装束でござりますな。微妙は縷々道理を説いた上で潔う腹切つてたもと絞り出すようですが、意外にも小四郎は聞き分けず言を左右にして微妙との間で白裃を押し付け合い。ついに微妙がヤレ最前の健気な覚悟忘れしかとぶちキレてここは千歳大夫フルパワーですが、小四郎は奥へ逃げ込み微妙も後を追って、文字久大夫にバトンタッチです。

陣鉦が鳴って雰囲気が大きく動き、馳せ参じた軍卒が出て来た盛綱に高綱勢の攻勢を告げる注進では三味線バシバシ、凄い臨場感。なるほど三味線は、あの錦糸師です。引き続いて二度目の注進が高綱討死を告げたところへ、時政が白い髭をなびかせてやってきます。舞台奥の襖が開かれると向こう側には琵琶湖の情景が広がり、上座に座った時政は盛綱に高綱の首実検を命じますが、出てきた首に盛綱が思い入れをする間もあらばこそ、小四郎はわしも後から追つ付くと腹に刃を突き立てます。未練を示したのも父に逢いたかったから、その父が亡くなった今は武士の自害の手本を見せると刀を引き廻す小四郎に微妙も盛綱もぐっときているのですが、時政ははや実検、何ととせかします。嫌な奴。改めて首を改めた盛綱が高綱の首に相違ないと言上すると、時政は心地よや嬉しやなと喜んでフハハウハハハと高笑いをするのですが、根が善人(たぶん)の文字久大夫の笑いにはいまひとつ大きさ、憎々しさが出てこず、ちょっと残念。

時政が下がったところで盛綱は篝火を呼び入れ、今際の際の小四郎に対面させます。実はこれは高綱の計略、最初から小四郎は贋首の前で切腹することで父に潜伏の機会を作るよう言い含められており、それを見抜いた盛綱も小四郎の健気さに打たれて主君を欺いたのでした。そのひとしきりを語って小四郎にそちが命は京鎌倉の運定め、出かいたな、出かしたと語り掛ける盛綱は、扇で顔を隠して悲嘆の涙に暮れます。篝火も嘆きながら小四郎にそなたの命捨てたので高綱殿の忠義が立つと褒美のお詞、それを未来の引導に迷はずと仏になつてたもと言い聞かせ、小四郎は苦しい息の下に喜びながらもたつた一つ悲しいは父様に……と声がとぎれ、惜しや実生の初花も、無常の風に散りて行く。続く微妙の栴檀の二葉で枯らせし胴欲は神も仏もなき世かと声を限りの嘆きは、ぐっと泣かせます。

最後、主君を欺いた申し訳にと盛綱が自害しようとするところを上手から出てきた和田兵衛が止め、南蛮流の懐鉄砲を「パン!」と撃つと時政が褒美にと残していった鎧櫃が割れて、中に潜んでいた隠し目付の榛谷十郎がじたばた。今ここで自害すれば贋首であることが露見し小四郎の死も無駄になると諭す和田兵衛に、盛綱も納得。最後は上手に和田兵衛、中央に盛綱、その左に小四郎を抱える微妙、下手手前では紅葉の焚火で小四郎の魂を送る二人の嫁という配置で幕となりました。

いかにも時代物らしくダイナミックな舞台に、盛綱の大きさと微妙の深い嘆きとが際立って、まずは満足。それにしても、子に腹を切らせる計略を立てる高綱って……それが武士の忠義だと言えばそうなんでしょうが、江戸時代の観客(町人階層)はこれをどう見たんでしょうか。武士道に感銘を受けて高綱や小四郎に喝采したのか、それとも自分は武士でなくてよかったと胸をなで下ろしたのか。たぶん、微妙の嘆きが代弁しているんでしょうけど。

伊達娘恋緋鹿子

まず「八百屋の段」、呂勢大夫です。暗い雪景色、どろどろと遠い太鼓が鳴って吉三郎が下手から蓑笠に雪を凌いで徒歩跣歩、雪を踏みしめる様子で出てきます。そこへ使いに出てきた下女のお杉にびっくりされますが、訳知りのお杉に縁の下へ隠れるように言われます。宅内では、吉三郎の恋人・お七が父親の久兵衛に武兵衛のもとへ嫁ぐようにと執拗な説得。久兵衛にしても好き好んでお七を武兵衛に嫁がせたいわけではないのですが、火事で焼けた婿入り先の八百屋を再建する金を借りた相手である武兵衛の要求には抗えません。そんなわけで気に入らぬ盃してくれ、嫁入つてくれ、頼む頼むと必死の説得モードですが、武兵衛に好かれる必要はない、朝も飯の出来るまで寝て、挨拶もせず、小遣いも湯水撒くようにし、釜の下にくべる薪もどつかどか。そして肝心はコレ毎晩背中向けて寝さへすりや、いやともに愛想尽かしともう無茶苦茶。呂勢大夫も妙にうれしそうな表情でここを語っていましたが、しかしお七は弱り果てた様子です。そこへいったん下手に下がっていた吉三郎遣いチームが身を屈めて入ってきて、泣く泣く奥に入るお七を見送り、三人の心のせつなさ思ひやり文を認めて去っていく吉三郎。

入れ代わりに帰ってきたお杉との会話から慌てて縁の下を覗くお七ですが、そこには蓑笠があるばかり。しかし、そこに吉三郎の文を見つけて読んでみると、主人がなくした天国あまくにの剣の探索期限が今宵限りで、明日明け六つの鐘を合図に主人ともども切腹と書いてあります。驚いたお七は、剣の出づる思案を求めて向かい合わせに座ったお杉の膝をばしばし!そのとき戸棚を開けてよっこらしょと目をこすりながら出てきたのは、丁稚の弥作です。探す剣は実は武兵衛の腰にありと弥作から聞いたお杉は、弥作の助けを借りて武兵衛から剣を奪い取ることになったところで、いったん幕が引かれます。

「火の見櫓の段」は、これだけが景事として上演される機会の多い場面。浅葱幕の向こうで太鼓がどーん、どーんと響き、枕が終わると共に切り落とし、中央に火の見櫓、下手に木戸。お七は櫓の前でやきもきしながらお杉たちの戻りを待っていますが、九つの鐘が鳴って木戸が閉まれば剣が手に入っても吉三郎に手渡すことができません。ふと櫓を見上げ、半鐘を打てば門が開くと気付いて(というわけで実説のように放火はしません)「緋鹿子」姿になって髪振り乱し、櫓の梯子を登っていきます。この場面、いったんお七の人形を櫓に貼り付かせて黒衣が支えている間に主遣いの清十郎師が櫓の後ろに回ると、梯子の両サイドに切れ込みがあるらしく、そこから操られた人形がたった一人で梯子を登り始めます。そしてついに櫓の上に立ったお七が半鐘をかんかんと鳴らすと、木戸が開いて木戸番たちが出てきますが、そのときお杉が剣を奪って上手から登場。すぐ後から追って来た武兵衛、そしてお杉をフォローする弥作と、武兵衛とグルの太左衛門が組んず解れつの剣の奪い合いになって、弥作からスローフォワードの剣をお杉がはっしと空中で受け止めたときは大拍手が湧きました。ついに武兵衛たちは打ちのめされ、舞台中央で剣を持ったお七が肩で息をする見得のうちに全点灯となって幕。

こうして一種ハッピーエンドで観ると動きが激しく面白い演目だったということで終わりますが、「八百屋の段」でお杉と吉三郎が知らぬ間にすれ違うときの詞章に後の哀れとなりにけりとあるように、吉三郎は助かるもののお七は火刑に処せられることになるわけです。放火したわけではないのだから罪一等減じればいいじゃないか……と言うわけにはいかず、お七もそうなることは先刻承知で櫓に登ったわけで、だからこそ梯子を登る途中でふっと振り向き下を見下ろす姿に、自分の身を捨てて吉三郎を救おうとするお七の昇華された覚悟が見てとれて、心底感動しました。

配役

近江源氏先陣館 坂本城外の段 小四郎 豊竹睦大夫
小三郎 竹本相子大夫
篝火 豊竹つばさ大夫
盛綱 豊竹芳穂大夫
軍兵 豊竹靖大夫
  豊澤龍爾
和田兵衛上使の段 豊竹咲甫大夫
鶴澤燕三
盛綱陣屋の段 竹本千歳大夫
鶴澤清二郎
竹本文字久大夫
野澤錦糸
〈人形役割〉
小四郎 桐竹紋臣
小三郎 吉田蓑紫郎
高綱妻篝火 吉田玉英
佐々木盛綱 桐竹勘十郎
母微妙 吉田和生
妻早瀬 吉田蓑二郎
和田兵衛秀盛 吉田玉女
注進 吉田清五郎
二度の注進 吉田幸助
北条時政 吉田勘緑
古郡新左衛門 吉田玉勢
竹下孫八 吉田勘市
榛谷十郎 桐竹勘次郎
軍兵 大ぜい
腰元 大ぜい
伊達娘恋緋鹿子 八百屋の段 豊竹呂勢大夫
鶴澤清介
火の見櫓の段 豊竹つばさ大夫
豊竹呂茂大夫
豊竹希大夫
鶴澤清馗
鶴澤清𠀋
野澤錦吾
〈人形役割〉
小姓吉三郎 吉田文司
下女お杉 吉田一輔
娘お七 豊松清十郎
親久兵衛 吉田玉也
久兵衛女房 吉田清三郎
丁稚弥作 吉田玉佳
武兵衛 吉田文哉
太左衛門 桐竹紋秀
木戸番 大ぜい

あらすじ

近江源氏先陣館

鎌倉方・京方に分かれて戦うことになった佐々木盛綱・高綱兄弟。それぞれの一子小三郎と小四郎は共に初陣で高綱の坂本城外で組み打ち、小四郎は生け捕りにされてしまう。小四郎の返還を求めて豪傑和田兵衛が乗り込み盛綱と談判に及ぶが、盛綱は主君北条時政から預かった囚人を渡すことはできないと断り、和田兵衛は時政に直談判しようと石山の陣所へ向かう。残った盛綱は母の微妙に、小四郎に腹を切らせるように頼む。小四郎を生かしたのは高綱を味方につけようとする時政の謀であり、子への愛ゆえに不忠を犯させないためには小四郎を殺すしかない、しかし時政の命で小四郎を預かった自分が殺すわけにはいかないという苦渋の決断だった。微妙は盛綱の心遣いを知り、盛綱から刀を預かると小四郎に無紋の裃と九寸五分の短刀を差し出すが、小四郎は死ぬ前に一目両親に逢いたいと未練を示す。しかしそこへ、高綱が討たれたとの報せとともに、時政一行が盛綱の陣にやってくる。影武者の多い高綱のこと、首実検を兄の盛綱にさせようとしたのだが、首を見た途端に小四郎は腹に刀を突き立て、盛綱も高綱の首に間違いないと言上したので時政は喜んで帰る。ところがこれは時政に本物の首と信じさせるため小四郎に腹を切るよう言い含めた高綱の計略だと盛綱は見抜いており、盛綱も小四郎の健気さに贋首だと気付きながら時政に本物だと主君を欺いたのだった。陣屋の外に忍んでいた小四郎の母篝火を招き入れて小四郎に最後の対面をさせると、主君を欺いた申し訳に盛綱も腹を切ろうとするが、そこへ現れた和田兵衛は時政がひそかに残していた隠し目付、榛谷十郎を鉄砲で打ち、ここで盛綱が切腹しては小四郎の死も無駄になると諭す。盛綱は今暫く永らえるのが小四郎への供養だと悟り、和田兵衛と戦場での再会を約束して別れる。

伊達娘恋緋鹿子

禁裏へ納める重宝天国の剣を何者かにすり替えられ、その詮議の猶予百日が今夜までとなった吉三郎。最後に一目恋仲のお七に会いたいとお七の父久兵衛の八百屋へ忍んできたが、下女のお杉の導きで縁の下に忍んでいる間に聞いた久兵衛とお七の会話から、久兵衛が火事で類焼した家を再建する金を借りた万屋武兵衛のもとにお七が嫁入りさせられようとしていることを知る。久兵衛の苦境や我が身の運命を思い、嫁入りしてくれと書き置きを残して立ち去る吉三郎。使いから戻ってきたお杉が吉三郎を縁の下に潜ませたことをお七に知らせるが、そこに見つけた書き置きに天国の剣が見つからず明け六つの鐘を合図に我が身も切腹と書かれているのを見てお七は狂わんばかり。そのとき押し入れに隠れて寝ていた丁稚の弥作が現れ、天国の剣は武兵衛が持っていると知らせる。

雪が降り積もる中、遠寺の鐘が鳴る。この鐘とともに町々の木戸が締められてしまえば、剣が手に入っても吉三郎のもとに届けることができないとい気を揉むお七。そこで大罪に問われることになるのを覚悟で火の見の半鐘を打つことを決意し、火の見櫓に登って必死に半鐘を打ち鳴らす。その下では剣を盗んだお杉を武兵衛が追いかけ剣の奪い合いとなるが、ついに剣はお七の手に渡る。