内田あぐり展

2006/11/25

山本丘人展」の隣、「内田あぐり展」も覗いてみました。こういう書き方をするといかにも「ついで」みたいな感じで恐縮ですが、「第1回日経日本画大賞展」で画家の《吊された男-'00M》を見てうーんと唸っていたことは覚えていました。また、山本丘人と内田あぐり氏が同じ創画会に属する(ただし年齢にはほぼ50歳の開きがあるが)画家であり、今回の展示もその点を意識して企画されているということは、後で図録の解説を読んで知りました。

作品の方は、やはり何度見ても驚かされる、というか脅かされます。最初の数枚こそはっきりした人物(着物姿や半裸の女性たち)が描かれていますが、暗い画面に女たちの白い肌も汚く煤けて、まるで怪談のひとこまを描いたよう……と失礼な感想をもちながら眺めていたら、すぐに鮮烈な色彩の絵具と墨の漆黒がのたうちまわりはじめて、ほとんど溶解されたようなフォルムの中によく見れば電源コードや糸がコラージュしてあり、そうした混沌の中で時に人体のエロティックなイメージが見え隠れするようになります。絵のサイズもやたらにでかくて圧倒されますが、幸い会場は空間を贅沢に目一杯広げてくれているので、15mくらい下がって遠巻きに(?)全体を眺めることも可能です。ここまでくると、美しいとか醜いとか、きれいとか汚いとか、そうしたものを超越した世界。あるとすれば、好きか嫌いか、だけ。

会場を出て階下に降りたところ、ちょうど内田あぐり氏本人が出演しているトークイベントをやっていたので覗いてみました。「もっと大きな作品を手掛けるつもりは?」との問いに、これ以上大きくする予定はないが、連作(《吊された男》《Continue》)をこれからも続けて描いていきたいと答えていました。この世界は、まだまだ続くのか……。1949年生まれとプロフィールにあるからもう50代後半のはずですが、実際の画家の雰囲気はそれより10歳は若く感じられ、なるほど絵から迸りでるエネルギーはこの若々しさあってのことかと納得しました。