くるみ割り人形(東京バレエ団)

2004/12/23

東京バレエ団の「くるみ割り人形」を、横浜の神奈川県民ホールで観ました。クララは上野水香、くるみ割り王子は高岸直樹。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団演奏・福田一雄指揮。席は2階席ながらど真ん中の最前列で、舞台が見渡しやすい絶好ポイント。そこから見下ろす1階席にも、我々の周辺にも、着飾ったお母さん(&お父さん)と小学生くらいの女の子という組み合わせが目立ちます。女の子たちはきっと皆、バレエを習っているんだろうな。

いつものかわいらしい序曲に続いて幕が上がると、森の奥の高いところに館が描かれた幕の前で、クリスマスパーティーに向かう人々が爪先立ちで小刻みに足を運びながら次々に上手から下手へ。幕が上がって明るい室内、純白のドレスにピンクのリボンをウエストに締めたクララの上野水香はあいかわらず存在感がありますが、表情の作り方や首の使い方などは可愛い少女風で、先日観たキエフ・バレエのタチヤーナ・ゴリャコーワとはずいぶん雰囲気が違います。そして怪傑ゾロのようなドロッセルマイヤー(木村和夫)が出てきて人形劇。ひとしきり本物の人形劇を見せた後で登場したピエロ、コロンビーヌ、ムーア人は、それぞれ人形振りでのユーモラスで難しそうなダンスを踊って顔見せをした後、おもちゃとねずみの戦いや舟の旅、ふしぎの国にまでついていくことになります。この人形3人組(?)がサポートしての王子とクララのパ・ド・ドゥも見応えがありましたが、リフトの場面では重くないのかなとついつい心配してしまいました。

ふしぎの国の宮殿は、壁面に暖色系のクレヨンでダイナミックに描きました風の模様で示されていて、なんとなく『クリムゾン・キングの宮殿』のジャケットを連想します。ここまで追いかけてきたねずみの王が片腕を三角巾で吊っているのが細かい演出。で、キエフ・バレエのときは王子に思い切り剣を突き立てられて敗退したのですが、今日は子供達にそんな残酷な場面を見せられないので王子がマネージュで追い返します。そして、ねずみを追って舞台から王子が消えてしまったため不安になったクララが手で顔を覆ってしまい、各国のダンサーが慰めているところへ王子が王冠をもって戻ってくるという流れ。ディヴェルティスマンでは、スペイン(大島由賀子 - 後藤晴雄)がフェッテとグランド・ピルエットを二人できれいに揃えていました。期待していたアラビア(井脇幸江 - 平野玲)は、それまでたびたび登場する人形3人組のかくかくした動きと振付が重なっている感じで、優美さやエキゾティシズムがあまり感じられませんでしたが、不意をつくような一瞬のダイヴにははっとさせられました。中国、ロシア、フランス、花のワルツと続いて、ティアラをつけてピンクのチュチュに化粧直ししたクララ登場。グラン・パ・ド・ドゥ、アダージョでは、舞台手前で客席に背を向けて立つ王子のもとへ舞台奥から飛び込んできたクララがそのまま頭上高くリフトされて両手を広げてポーズ。そこから90度回って横からの姿も見せてくれましたが、こちらはあまり見たくないポーズかも。そしてクララのヴァリエーション(金平糖の踊り)では、彼女の伸びやかな四肢が縮こまってしまっている印象で、トウシューズの靴音ばかりが耳につきました。うーん……。

終演後は中華街へ。年末の浮き立つような雰囲気の中をふらふらと歩いて、四五六菜館別館でお腹いっぱい食べてから帰路につきました。来年は、ベジャールを踊る上野水香を観てみたいと思いながら。

キャスト

クララ 上野水香
くるみ割り王子 高岸直樹
クララの父 森田雅順
クララの母 大島由賀子
兄フリッツ 乾友子
くるみ割り人形 氷室友
ドロッセルマイヤー 木村和夫
ピエロ 中島周
コロンビーヌ 太田美和
ムーア人 大嶋正樹
ねずみの王様 横内国弘
スペイン 大島由賀子 - 後藤晴雄
アラビア 井脇幸江 - 平野玲
中国 太田美和 - 高橋竜太
ロシア 長谷川智佳子 - 古川和則
フランス 高村順子 - 小出領子 - 中島周
花のワルツ 乾友子 / 高木綾 / 奈良春夏 / 田中結子 - 木村和夫 / 野辺誠治 / 長瀬直義 / 横内国弘
 
指揮 福田一雄
演奏 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団