栄光のオランダ・フランドル絵画展

2004/04/24

古代ローマ彫刻展」が今ひとつ満足できなかったのと、夕方からのバレエまで時間があったので、近くの東京都美術館へ足を伸ばし、「栄光のオランダ・フランドル絵画展」も観ることにしました。こう書くとまったくのついでのようですが、ポスターのフェルメールの絵には惹かれるものがあって折りあらば観たいものとは思っていたのでした。

こちらの展示は、ウィーン美術史美術館のコレクションの中から16・17世紀のオランダ・フランドル絵画を選び出したもので、代表的な作品としては、ヤン・ブリューゲル(父)の《小さい花卉画-陶製壷の-》に示される細密描写、デカメロンに題材をとったルーベンスの《キモンとエフィゲニア》の豊かな(豊か過ぎる)肉体表現(そして、人物・周囲の静物・背景の分業システムも特徴的)、ファン・ダイクの《マリアと福者へルマン・ヨーゼフの神秘の婚約》の深い心理描写、レンブラントの《使徒パウロ》に見る歴史画と肖像画の結合、そしてこの展示会の白眉と言えるフェルメールの《画家のアトリエ(絵画芸術)》があげられます。特にフェルメールの作品は120×100cmの大きさで、青い衣裳を着て頭に月桂冠を戴いたモデルの女性の伏し目がちの表情、その左上の目に見えない位置から差し込む光と床からのかすかな反射光、その光によって壁の大きな古地図に浮かび上がる皺や折れ目、手前のフェルメール自身とおぼしき画家やさらに近景となる椅子とカーテンが織りなす遠近感など、どこをとっても非の打ち所がない描写の魔術が感じ取れます。

これら以外にも、サフェレイの《動物たちの中のオルフェウス》の大胆な構図(オルフェウス自身は中央の遠い位置にうっすら小さく描かれており、主役は近景で彼の楽の音に聞き入る動物たち)や、テニールスのまるで鳥獣戯画のようなユーモアと皮肉に満ちた《猿の煙草嗜好団》《猿の床屋に猫の客》が面白く、そしてデ・ヘームの《果物の花綵に囲まれた聖体》に見る金属や果物の質感の写実的な描写(とりわけ葡萄の透明感や輝きが凄い!)には思わず息を飲みました。