クリスティーナ・オヨス舞踊団

2002/12/14

クリスティーナ・オヨス舞踊団の「歓喜の鼓動」を、東京芸術劇場の中ホールで観ました。

クリスティーナ・オヨスといえば、アントニオ・ガデスの舞踊団でメインのバイラオーレをつとめ、特に1974年の「血の婚礼」において主人公の花嫁を踊り絶賛を浴びた……のだそうですが、当時はフラメンコに知識も興味もなかったので、これはプログラムからの受け売り。ガデスの舞踊団での来日の他に東京に1年間住んでいたこともあるそうで、自身の舞踊団を率いての来日も1992年を初回としてこれが6回目。それだけに、日本には息の長いファンが多いようです。私はといえば、なんとなくクリスティーナ・オヨスの名前を聞いたことがある程度でしたが、しばらくフラメンコから遠ざかっていたので、久しぶりにあの熱気に触れておくのもいいか、という程度のつもりでチケットを手に入れていたのでした。池袋の東京芸術劇場は、京劇公演で何度か足を運んでおり既におなじみ。駅から近く施設が新しくて、座席の座り心地がいいのとステージが近いのが気に入っています。ところが何を勘違いしたか、てっきりBunkamuraで行われるものと直前まで思い込んでいて、開演30分前の頃に道玄坂を下りながら何の気なしにチケットを眺めて勘違いに気づきあわてました。しかし速攻で山手線に飛び乗って池袋へ向かい、無事開演5分前に会場に入ることができました。

コンパス
暗闇の中にギターが鳴り、舞台下手にかすかに浮かび上がったカンテオーラが静かに歌い始めます。女性舞踊手が4人、そして男性舞踊手が4人登場し、群舞から一組ずつの踊りへ。
タンゴス
えらく背の高いエル・フンコが登場し、衣裳を変えた舞踊手たち、さらにオヨスの公私とものパートナー、ファン・アントニオ・ヒメネスがスーツ姿で現れます。
ペテネーラ
長い裳裾をひいたオヨスが両手のカスタネットを鳴らしながら踊ります。8分の6拍子と4分の3拍子を行き来する不思議なリズムの曲です。オヨスの踊りは若手舞踊手たちのようなキレとかエナジーとかではなく、大きな貫禄のようなもので見せます。
アレグリアス
「コンパス」と同じく男女4人ずつの踊りで、女性たちが「ペテネーラ」でオヨスが着ていたと同様のバタ・デ・コーラの裳裾を巧みに左右に飛ばしながら踊るのが見せどころ。
ソレア
背の高いエル・フンコが迫力のサパテアードと汗を飛び散らしながらのブエルタを見せて観客を圧倒しました。他のメンバーも加わって、ソロ、デュオ、男性、女性といろいろなパターンで踊り継ぎます。
ブレリアス
華やかなフィナーレでは全員が登場し、ソロの応酬を重ねます。実はここまでよく統制された踊りに感心してはいてもいまひとつノリきれないものを感じていたのですが、ここでの若手舞踊手たちの奔放なバイレで一気にヒートアップした感じ。一人のソロがギターとぴったり合ったキメのポーズで終わると、次の踊り手に向かって手と足で「さぁ、次はあなたの番!」と挑発するのが面白く、客席もこれまで大人しく見ているだけでしたがここでは一人一人のソロに大きな拍手で応えました。

舞台は極めてシンプルで、真っ黒なバックに小道具の椅子。色彩的に華やかなのは舞踊手の衣裳だけで、照明も控えめでした。3人のカンテ(女性1&男性2)と3人のギターラが後ろで目立たずに、しかし切れ目なく曲と歌を繰り出していましたが、その演奏が聞かせました。特に、最後の「ブレリアス」では舞踊手の興奮が彼等にも乗り移ったようで音量も上がり、中でもカンテオーラのメルセデス・コルテスが実に楽しそうな表情でいい声を出していたのが印象的でした。カーテンコールも数度あり、オヨスの満面の笑顔が素晴らしく、幕が降りるときにはかがんで客席に向かって「バイバイ!」と(英語では言わないだろうけれど)かわいらしく両手を振っていました。