京都の社寺巡り(紅葉の庭園巡り)

2002/11/16

京都の11月は紅葉の季節であり、同時に観光客で市内がごったがえし、主要道路は観光バスが数珠つなぎになる季節でもあります。大原や嵐山は、その紅葉目当ての人・人・人で埋め尽くされ、落ち着いた散策など望むべくもありません。そうした中では、一乗寺の詩仙堂や曼殊院あたりは比較的落ち着いた雰囲気が残り、ゆるゆると歩いて回るのによい場所です。

東寺

前夜投宿した梅田のホテルを出てJRで京都に着き、午前中はまず前々から行ってみたかった東寺(教王護国寺)へ。かつてこの寺は朱雀大路の南端に建つ羅城門の東に位置していたのですから、もとの平安京が現在の京都市街に対してずいぶん西に寄っていたことがわかります。まずは講堂に入ったところ、いきなり膨大な仏像群に圧倒されます。東寺は空海がもたらした真言密教の中心寺院であり、この講堂には大日如来を中心として21体に及ぶ仏像が、金剛界曼陀羅を表した立体曼陀羅をかたちづくっています。その仏像がどれもこれも国宝・重文。居並ぶ仏像のお顔の表情は、のっぺりとした無表情、憤怒の形相などさまざまですが、帝釈天の高貴で穏やかな顔だちがとりわけ心に沁みました。次に入った金堂〈国宝〉には、十二神将を足下にあしらい、両脇に日光・月光両菩薩が侍する本尊の薬師如来が巨大です。そして57mと日本一高い五重塔〈国宝〉。そう言えば京都の地が北から南に緩やかに傾斜していることを示す事例として、平安京北端の標高はこの塔のてっぺんと同じだと聞いた事があります。

東福寺

ついでタクシーで東福寺へ移動。ここは何度か来たことがありますが、時間もあるし東寺から遠くはないし、なにより紅葉の名所としてあまりにも有名なので一応押さえておきたいお寺です。よくポスターなどで見るのは谷筋の上に差し渡された通天橋を臥雲橋から見通した構図ですが、確かにここの紅葉は燃え上がるような鮮やかさでした。一応中に入って通天橋を渡り、奥の開山堂にも行ってみましたが、その混みようにはさすがに辟易してしまいました。

13時に出町柳で京都在住の知人と1年振りに合流。最初は大原に行こうか、という話だったのですが、やはりもの凄い人並みで勧められないとのことなので、上述の通り詩仙堂や曼殊院へ向かうことにしました。

詩仙堂

叡山電鉄でわずかの一乗寺で降りててくてく歩くと、宮本武蔵と吉岡一門の決闘で有名な一乗寺下り松を過ぎて、ひっそりとした詩仙堂。中に入るとそれなりのにぎわいではありましたが、東福寺に比べれば十分静かです。座敷から庭を眺めてから庭に降り立ちひと回りしてみましたが、もみじの赤から黄色へのグラデーション、南天の赤い実、すすきの穂の白、艶やかな苔や竹の緑などが色彩豊かでした。ここは文人・石川丈山が隠栖した草庵で、私もいつかは再び京都に移ってこういうところに住みたいものです。

詩仙堂の庭園と嘯月楼。左写真の庭園の向こう側に斜面を下る道がつけられています。

詩仙堂の庭園の中段あたりと鹿威し。紅葉のグラデーションがとても綺麗。

詩仙堂の裏手に何気にあった八大神社。宮本武蔵の決闘場にあった松の古木の残骸がケースの中に祀られていました。

圓光寺

曼殊院へ向かう道の途中にあった圓光寺にも立ち寄ってみましたが、これが意外な(?)掘り出し物。詩仙堂の庭は斜面に立体的に展開しているのに対し、ここの庭は平面的なのでもみじの林が深みをもって見通されます。また、裏手の山の中腹は切り開かれていて、京都市街が一望できます。

圓光寺の庭園と全景。「ついでだから立ち寄ってみようか?」という感じだったのですが、実際はとても風情のある場所でした。

曼殊院

曼殊院は白砂が清潔な枯山水の庭園が見どころでツツジの季節は素晴らしいとのことですが、もみじの大きな木があってこれもまたよし。

真如堂

喫茶店で一息入れてから、紅葉の名所・真如堂へタクシーを飛ばしました。三重塔周辺をはじめ至るところに鮮やかな紅葉が見られ、「ここ、紅葉の季節以外は何も見どころがないだろうね」と笑い合いましたが、そのバチがあたったのか、試みにひいたお神籤は私が「吉」なのに連れは「凶」!

真如堂の三重塔。夕方の斜光が紅葉に微妙な深みを与えていました。そうこうするうちに日も傾いて、紅葉巡りはこれでおしまい。バスで繁華街へ移動し、木屋町通と先斗町でがんがん(こんなに飲んだのは久しぶり、っていうくらい)飲んで、連れを五条の自宅に送ってから最終のJRで大阪へ戻りました。