シルヴィ・ギエム・オン・ステージ 2001

2001/11/17

「シルヴィ・ギエム・オン・ステージ 2001」を、東京文化会館で観ました。座ったのはE席で、一番上の階の一番上の列の一番左端という凄い場所になってしまい、ステージの左奥は陰になって見えません。これはチケット代を惜しんだためではなくて、ギエム人気の高さのためいい席から先になくなってしまったからです。開演18時半、終演20時50分。演目は以下の通り。

演目 ダンサー 振付
「テーマとヴァリエーション」 東京バレエ団 ジョージ・バランシン
「バクチ」 シャクティ:井脇幸江
シヴァ:木村和夫
東京バレエ団
モーリス・ベジャール
「www:ウーマン・ウィズ・ウォーター」 シルヴィ・ギエム マッツ・エック
「シンフォニー・イン・D」 東京バレエ団 イリ・キリアン
「ボレロ」 シルヴィ・ギエム
飯田宗孝 - 森田雅順 - 木村和夫 - 後藤晴雄
東京バレエ団
モーリス・ベジャール

シルヴィ・ギエムの「ボレロ」は4年前に観ているのですが、それでもまた観にいってしまうのは、ステージに立つ彼女のオーラのようなものの虜になっているからかもしれません。

テーマとヴァリエーション

今回のプログラムもその4年前同様にコンテンポラリーな作品を並べたプログラムで、最初の「テーマとヴァリエーション」はバランシンによるプティパへのオマージュとされる作品。ストーリーらしきものはなく、チャイコフスキーの音楽に乗ってパ・ド・ドゥやソリスト、コール・ド・バレエの踊りが流れていく作品で、正直に言うとバランシンはあまり好きではない……と思っていたのですが、よく観ていけば女性が振り向きざまに跳躍したところを男性が胸で受け止めたり、リフトで空中に持ち上げた瞬間にはっと支える手の位置を変えたりといった技も見せてくれて、スリリングでした。

バクチ

博打のことではもちろんなくて、ヒンズー語で「親愛」を意味します。ヒンズー音楽を使い、本来は3つの挿話からなる作品ですが、今日は赤の衣裳で踊られるシヴァ神とその妻シャクティの踊りが披露されました。インド情緒豊かな音楽の上に、ベジャール作品らしい幾何学的なポーズと前屈みの姿勢や手の甲の使い方による摩訶不思議なイメージが展開します。ダンサーの肉体を通じて、そこにベジャールの存在が感じられるような面白い作品でした。

www:ウーマン・ウィズ・ウォーター

シルヴィ・ギエムによる10分程度の小品ですが、舞台装置は少し大きめの四角いテーブル、そして途中で運ばれてくる水さしとコップだけ。裾の長い衣裳を来たシルヴィ・ギエムはテーブルの周囲での目まぐるしい動きを通じて女性の不安・焦躁・困惑といった類の感情を伝えてきます。マッツ・エックの作品を観たのは、多分初めて?ですが、印象的で、なおかつ多様な解釈ができそうな作品で、足を運んだ甲斐がありました。

ボレロ

コミカルな「シンフォニー・イン・D」の後に休憩をはさんで、最後はお待ちかねの「ボレロ」。今回、一番高い位置からステージを見下ろす席になったことで自分なりに新しい発見がありました。この作品の初演時の演出では赤い円卓上の「メロディ」を演じる女性は周囲を取り囲む「リズム」を踊る男性たちから見られる立場にあったでしょうし、それが「メロディ」をジョルジュ・ドンが踊って以降は両者は共同でひとつの祭儀を司る関係に変わっていたのですが、シルヴィ・ギエムの「メロディ」は明らかに「リズム」を見下ろして挑発しています。そのことが、この作品に生身のエネルギーを与えつつ、最後の全員が円卓に倒れ込むエンディングへとストーリーを巧みに集約しているのだと思いました。

帰りがけに買ったギエム直筆のポストカード。けっこう刺激的なセルフポートレイト集になっています。