国宝 鑑真和上展

2001/02/18

上野の東京都美術館で開催中の「国宝 鑑真和上展」へ行ってきました。

授戒大師招聘の使命を帯びた日本僧・栄叡と普照の求めに応えて唐の高僧・鑑真が平城京に着いたのは天平勝宝6年(西暦754年)。この間、渡東計画は11年の歳月と5度の失敗、栄叡を含む多数の犠牲者を出し、鑑真自らも両眼の光を失っており、その経緯は井上靖の小説『天平の甍』に詳しく描かれています。その鑑真和上が戒律の学問所として開いたのが唐招提寺であり、現在では奈良時代の金堂と講堂を今に伝える貴重な寺院です。

この展覧会は、その金堂が今後10年間の大修理に入ることに伴い、いわゆる出開帳として仏像宝物を展示するものであり、特に鑑真和上坐像〈国宝〉は関心の的となっていました。この日は、朝10時に会場に入ったためまだ混雑のピーク前で、音声ガイドを使いながら比較的ゆったりと各展示を眺めることができました。四天王像や各種仏像、そして鑑真和上坐像、各種経典や絵巻、仏具など貴重な展示物の数々に加えて、VRで金堂内や御影堂(東山魁夷の障壁画が素晴らしい)を散策するバーチャル・シアターといった企画もあって盛りだくさん。

2時間半程で見終わって、さながら奈良物産展の趣きもある売店であれこれ買い求めてから外に出ると、会場入口には長蛇の列ができていました。早出が良いのは山だけではないようです。

会場に入るとすぐ、この四天王(8世紀)及び梵天・帝釈天の像に息を飲みます。左から広目天・増長天・持国天・多聞天。
本展の白眉・鑑真和上坐像(8世紀)。写実的な表現の中に強靱な意思と静謐の境地が見事に共存しています。
和上が唐から持ち来たった仏舎利を納める舎利壺を入れた金亀舎利塔(平安時代)。台座の亀は、和上の船が難破したときに、海中に没した舎利壺を亀が背に乗せて救い出したとの言い伝えに由来しています。
如来形立像(9世紀)。胸から大腿部にかけての滑らかな曲線が優美で、「唐招提寺のトルソー」として有名。

売店で買った招提みそに冷やした澤乃井の本地酒をあわせてみました。日本に生まれてよかったと思えるひととき。