エドワード・ホッパー展

2000/08/19

Bunkamura ザ・ミュージアムで「エドワード・ホッパー展」を見ました。

この展覧会は、20世紀アメリカ絵画の巨匠エドワード・ホッパーの画業を、ニューヨークでの美術学校 / パリ外遊時の小品群、商業イラストレーターとして活躍しながら発表し彼の評価を高めた数々の版画、同時期にたびたび訪れたニューイングランドの海岸と街並の水彩画・油彩画、そして彼の声価を高めた印象的な「都市・孤独・光」の作品群に分類して展示するものです。

都市や郊外の情景を大胆な構図でジャーナリスティックに切り取ったようなエッチングの数々も素晴らしかったのですが、やはりお目当ては最後のコーナーの都市生活の断面を描いた作品群です。とりわけ《真昼》のシュールとさえ見えるような乾いた、しかし柔らかい陽光の表現や、《哲学への道》でのあからさまではあるがなんとも居たたまれない疎外感は、ホッパーの真骨頂と言えるでしょう。

体系的にホッパーの画家としての歩みを再現したわかりやすい展示でしたが、やはり最後のコーナーはもう少し充実した展示点数にしてほしいと思いました。とりわけ、ホッパーの代表作で自分としてもかなり期待していた《ナイトホークス》(または《夜更しをする人たち》)が含まれていなかったのは残念。

《真昼》(1949年)。ホッパーの光に対する関心を実に端的に表現する作品。白い壁面を輝かせ、ドアの向こうに深い影を作っている強い陽光は、実際に作品を見てみると乾いていながらも意外に柔らかい印象を与えます。
《朝の日ざし》(1952年)。屋内で陽光を浴びながら、空虚な一日を思う女性、という主題はホッパーの作品のいくつかに共通します。それらの作品では、高い天井や広い壁面が心理的な緊張を高める役割を果たすことが多いのですが、ここでは外界の空の高さが同様の役割を果たしているようにも見えます。
《哲学への旅》(1959年)。ここでは、上述した共通の特徴に加えてホッパーのいくつかの作品で見られる、同一の空間に存在する複数の人物の、関係性を喪失した緊張感が表現されています。