山を愛する写真家たち 日本山岳写真の系譜

1999/10/02

恵比須ガーデンプレイスの東京都写真美術館で、「山を愛する写真家たち 日本山岳写真の系譜」を見ました。

戦前の北アルプスのモノクローム撮影から色彩豊かなカラー写真、さらには大胆な構図の空撮写真、そして舞台をヒマラヤへ移しての雄大な作品群まで、多様な山岳写真がいやというほど並べられた充実した企画。

昔の上高地の静かなたたずまいやウェストンが持つピッケルの長さに驚いたり(スピッツェを下につけてヘッドが腰のベルトの位置までくる!)、いかにも貧弱そうな冬山装備とキスリングに当時の岳人の苦労が偲ばれたりしましたが、山の姿だけは今と変わらないことになんとなく安心しました。

《河童橋上のウォルター・ウェストン夫妻》(大木操:1913年)。ウェストンが登山靴の上にわらじを履いているのに注目!
《槍ヶ岳より笠岳を望む》(穂苅三寿雄:????年)。作者は槍ヶ岳肩の小屋(現・槍岳山荘)の創設者。
《旭光(燕岳から浅間山)》(三宅修:1993年)。ちょっとあざとい、というか通俗すれすれの光の処理ですが、その向こうの雲の輝きにはっとさせられます。
《お花畑と槍ヶ岳(8月中旬)》(岩橋崇至:1997年)。大槍の姿を切り詰められるだけ切り詰めた大胆な処理。また、並べられていた同じ作者の《ジャンダルム(5月初旬)》は神々しいほど美しい。
《マチャプチャリと月》(白川義員:1968-70年)。彼の作品は色やコントラストがなんとなく作り物っぽくて好きではありませんが、この作品だけはなんともいえない山の気品を感じます。
《タンボチェの仏塔の彼方にアマダブラム》(安久一成:1969-70年)。言う言葉なし。いつか必ず、この景色の中に立つつもり。