レメディオス・バロ展

1999/06/20

新宿の伊勢丹美術館で、「レメディオス・バロ展」を見ました。「ダリ展」に続いてシュルレアリスムのハシゴ。

バロは、ダリと同じくスペインに生まれ、パリでシュルレアリスム運動に参加したのちメキシコに渡って才能を開花させた女性画家。錬金術や占星術をモチーフに魔術的で物語性の強い独特の世界を描きます。1963年、55歳で没。この展覧会では、彼女の日本初の回顧展としてその代表作60余点を展示していました。

この人についてはまったく予備知識がなかったのですが、ファンタジックな題材を穏やかなオレンジ色と繊細なタッチで描いた作品群に、すっかりとりこになってしまいました。ぜひ、また見る機会を得たいもの。メキシコに見に行くのも楽しいかもしれません。

《笛を吹くひと》(1955年)。隠者が笛の音色で石を持ち上げ、八角形の塔をたてています。隠者の顔の部分には貝の真珠層が嵌め込まれ、叡智の輝きを出しています。
《鳥の創造》(1957年)。錬金術に通じた女梟が描いた鳥にレンズで拡大した星の光が当たると、鳥は紙から抜け出して森に飛び去っていきます。
《星粥》(1958年)。地面から遠く離れた高い塔で、女が月の赤ん坊に離乳食=星粥を与えます。籠の中の三日月にも、塔の中の女にも、孤独感と閉塞感が漂います。
《オリノコ川の水源の探究》(1959年)。ベネズエラのオリノコ川の水源を探究する女のジャケットは、聖杯探究の旅へと導くファンタスティックな舟になります。
《螺旋の運航》(1962年)。ヨーロッパ中世の城塞都市が取り囲む螺旋の水路を進む水上タクシーの人物たちは、錬金術の精神探究の旅を続けます。
《無重力現象》(1963年)。バロ自身の解説によれば地球が地軸と引力の中心から外れてしまい、天文学者は片足を一方の空間に、他方を別の空間に置いて均衡を保とうとしています。