塾長の鑑賞記録

塾長の鑑賞記録

私=juqchoの芸術鑑賞の記録集。舞台も絵も和風好き、でもなぜか音楽はプログレ。

竹内浩一展

1999/03/13

松屋銀座で「竹内浩一展」。1月に見た「山口華楊回顧展」で見た作品がとても気に入ったので、その山口華楊に師事したという竹内浩一も感性が合うに違いないと思って足を運んだのですが、まさに期待以上でした。

竹内浩一は1941年、京都の友禅職人の家に生まれ、はじめ洋服地のプリントデザイナーの道を歩んだものの、25歳で山口華楊の主催する晨鳥社に入塾して日本画の道へ転身した画家。円山四条派の伝統を基に、自画像ともいえる動物画と執拗なまでに繊細な植物画を淡い色調で描きます。この展覧会では、竹内浩一の代表作60点余を展示していました。

▲《白い雫》(1981年)。山口華楊の《青柿》と構図が似ているが、ここに描かれた弊れた烏の姿と画面全体を覆う蔓草のからまりは見る者の琴線のまったく異なる部分に触れてくる。
▲《風の琴》(1987年)。すっきりと写実的な姿態と顔の表情や前足の角度に見る心象表現に惹かれる。
▲《器》(1988年)。独特の背景処理によって中心モチーフと背景とが融合している。
▲《丹》/《牟礼》(1995年)。これまで中心モチーフの地位にあった動物の姿はもはやなく、淡い色調の中で背景の光や空気の中に実体が溶け込もうとしている。