吉野山 / 傾城反魂香 / 助六曲輪初花桜

1998/02/22

十五代目片岡仁左衛門襲名披露公演を歌舞伎座で。二月は昼の部が

一、春調娘七種
二、女暫
三、一谷嫩軍記 熊谷陣屋
四、吉野山

夜の部が

一、傾城反魂香(土佐将監閑居の場)
二、襲名披露口上
三、助六曲輪初花桜(三浦屋格子先の場)

です。このうち夜の部を当日券で買いましたが、時間がちょうどよかったので昼の部最後の「吉野山」も一幕券で見ることにしました。これらの中でお目当てはやはり「口上」と「助六曲輪初花桜」でしたが、配役をチェックせずに見始めた「吉野山」で静御前が鴈治郎丈なのにびっくり。大阪の中座で高熱を発しながら見て以来(そのため演目も覚えていない)。午後の「傾城反魂香」でも女房おとくの役で相変わらず達者な「泣き」の芸を見せてくれて嬉しくなってしまいました。「口上」では仁左衛門丈ほか幹部連が勢揃い。役者にとっては一生に一度のことであり、そうした場面に立ち会える観客も幸せというものです。

助六曲輪初花桜

曾我五郎と兄の十郎(鎌倉時代の人物)が江戸時代の吉原で宝刀「友切丸」を探すという奇想天外なストーリーがいかにも歌舞伎らしいのですが、この江戸っ子の心意気が痛快な芝居を本来上方役者の仁左衛門丈が玉三郎丈とのコンビで気持ちよく演じていました。観客も心得たもので、揚巻が意休に向かって胸のすくような悪態をつく場面では「待ってました!」、助六の出端では「松嶋屋!」の掛け声。通人里曉が助六・新兵衛の股下をくぐらされるときに、匂い消しのためにシャネルの香水や防毒マスクをとりだすなど何でもありの怪演。

配役

助六曲輪初花桜 花川戸助六 片岡仁左衛門
揚巻 坂東玉三郎
白玉 中村時蔵
福山かつぎ 坂東八十助
通人里曉 澤村藤十郎
朝顔仙平 市川左團次
くわんぺら門兵衛 片岡我當
白酒売新兵衛 尾上菊五郎
髭の意休 中村富十郎
母満江 中村鴈治郎

あらすじ

助六曲輪初花桜

桜の盛りの吉原で、花魁たちの中でも人気一番の三浦屋抱nの傾城揚巻。お大尽だが一向にもてない髭の意休に今日も言い寄られるが、わりない仲の助六と意休とでは比べ物にならない、と一蹴する。そこへさっそうと現れる助六は日本一のいい男。さんざん意休を挑発し、意休の子分共を蹴散らすが、なぜか意休は挑発に乗らず、三浦屋の中へ入ってしまう。揚巻の布団の上で一杯呑もうと行きかけた助六(実は曾我五郎)を呼び止めたのは、白酒売新兵衛(実は曾我十郎)。廓に入り浸って喧嘩ばかりしている弟を諌めるが、父が討たれたときに紛失した源氏の宝刀友切丸を探すための詮議と聞かされ、逆に一緒に喧嘩をする羽目になる。そこで助六が兄に喧嘩の仕方を伝授していると、編笠をかぶった侍客を揚巻が送って出てくる。揚巻の不実に腹を立て絡んだ助六だが、編笠の客は兄弟の母で、助六に無茶をするなと紙衣を着せ、帰っていく。再び現れた意休(実は伊賀平内左衛門)は助六をののしり扇で打つが、抵抗しない助六に感じ入る。そこで刀を抜いて香炉台を斬ってみせ、兄弟力を合わせて仇討ちを遂げるよう忠告するが、その刀こそ助六が探している友切丸。うっかり刀を抜いてしまった意休はそそくさとのれんの中に入り、助六は揚巻の勧めに従い帰りを待ち伏せることにする。